陸軍の作品情報・感想・評価

「陸軍」に投稿された感想・評価

ほたて

ほたての感想・評価

4.3
はじまりのみち で気になって鑑賞

笠智衆さんと息子さんが親子で一つの役を演じていた…!

あ〜なんて名ラスト
三国干渉から大東亜戦争までずっと生きてる田中絹代の年齢設定は果たして大丈夫なのか心配していた。

笠智衆の息子が成長したら笠智衆になったりするのが面白かった。
木下恵介監督は、うん、やっぱ凄いわ。
ラストシーンをよく撮れたな〜。
戦意高揚映画のはずなのにね。

途中でお茶受けのお菓子に鶴乃子が出ていた。
僕の大好きなお菓子。
現在の箱と同じだった。
素晴らしいね!そこも感動した!
ラストシーンはちょっとエイゼンシュタインの映画なんじゃないかってくらい通づるものを感じた。
ただ親が子の出征を見届けるシーンなのに音楽や群衆の使い方など実にダイナミックで静かな感動と余韻(反戦的な意味で)を感じて止まない。
やま

やまの感想・評価

3.6
戊辰戦争とか、江戸時代末期に生まれた人って本当の平和を知ることもなく死んだと考えると可哀想。

戊辰戦争から大東亜戦争にかけての3世代の家族を映し出したこの映画。
息子には強くなってほしい。陸軍に入隊し、天皇陛下のために死んでほしい。こんなことを本気で祈る親がいたと言うんだから、本当に恐ろしい時代だ。

オープニングから、当時の大日本帝国というものを思い知らされる。迫力のある感じ。元寇のくだりであったり、当時の社会状況、戦争の事とか知らないと分かりにくい話ではあったと思う。

非常に印象的なシーンは、息子が教科書を踏みつけるのを見て叱りつける母親のシーンだ。恐ろしい。いかに天皇陛下が絶対的存在だったかを意味している。今の子なんて落書きして、失くしたりもするのに。

そして息子二人と父親と母親。肩もみをしてもらい。愛おしいシーンのように思えるが、言ってることはすさまじい。病気で死ぬなんかつまらないからな、しっかりと戦って死ぬんだぞと息子に言いつける。息子は、分かりましたと元気よく応じる。本当にこの時代どうかしてるぞ。

そして、息子を送らずに家で留守番する母親。念仏のように何かを唱えてる。何を言ってるかはよく分からなかったが、息子の元に走る。息子に頑張れとエールを送り終えるこの映画。死にゆく息子に哀れんで送るのじゃない。天皇陛下のために命をかけて戦えと見送る。まさに狂気。

まさしく戦時中ならではのプロパガンダ映画なのだが、息子のことを思う一面であったり、優しさは垣間見れる。


これだけは言える。この時代よりまともな時代に生まれて良かったぁ〜
たく

たくの感想・評価

4.5
国威発揚映画的な作り。
当時はこういう描き方しかできなかったろうね。

日清戦争以前から繰り返されてきた日本の戦勝の歴史において、お国のために尽くして軍隊で活躍することが男の生き様。
代々病弱で軍隊に向かない家系だけど、鼻っ柱の強さで際立つ笠智衆。
そこに惚れ込む奥さんの田中絹代。
息子の貧弱さを何かと叱りつけるスパルタ教育。

ラストの息子の出征シーンでついに田中絹代の本音(本当は戦争に行ってほしくない)が画面からにじみ出るのがいい。
最後は晴れ晴れとした息子の笑顔に会えて安堵する田中絹代で幕。
「花咲く港」も同じ感じだったけど、時代の制約があるね。
その点、「笛吹川」は反戦メッセージがすごかったな。
田中絹代のこの迫力……震えます。ノートパソコンの小さな小さな画面の前で圧倒されました。星五つじゃ足りない。こんなに素晴らしい映画があるだろうか。
なんだかシーンが生きてます。魔法がかってる。
素晴らしい女優さんというのは、映画をほんものにできるのかもしれませんね。
T

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3.7
木下惠介の映画、基本的に戦争賛美でちょっと首を傾げるところも多い。国の為に死ぬのが正義とされる日露前後の日本で、身体の弱さで兵士になり損ねる青年。戦友だ、戦友だ、人の屍の上に成り立つ友情とは如何に。わが子の命を惜しむ当たり前の気持ちを表出できない異常な世間。当時の日本人の気持ちは全く理解ができないが、現在の日本にも通ずる何か大きな力を感じた。
親子三代の国への貢献を描く太平洋戦争中の国策映画。
田中絹代が出征する息子を見送るラストシークエンスは、この一年後には空襲で焼け野原となる戦時中の町並みをとらえたものであるため非常に資料的価値が高い。この映像は原恵一監督の『はじまりのみち』でも引用されており、当時この場面が「女々しい」と軍部に怒られたことで、木下恵介は映画を撮れなくなってしまったそうだ。
人物の描かれ方が単なるプロパガンダ映画とは異なり、時代の価値観とともに生きた庶民の心の機微を活写していた。ゴリゴリの軍人気質の父親たちが威張ったり、見栄をはったりして、日本男児たろうと努めている様子がマヌケに見える。こんなプライドの高い人は実際に居たのだろうけど、とは言え人の親なもんだから武士になりきれずに、息子を思ったり、国を案じたり、世間体を気にしたり、つまらないことで意固地になってバカみたいだ。
親子の会話で、文字通り「衿を正して」人の話を聞くシーンがある。こんなに形式ばった所作は今ではもう見ることはないだろう。

このレビューはネタバレを含みます

 幕末から日清、日露に満州事変までの陸軍史を1つの家族と軍の関わりを見せていく話。

 冒頭から「陸軍省後援」という文字が出てきて、1944年に作られた作品なので間違いなく戦意高揚映画だとは思いますが。映画を見ると子どもを軍人にすることが誉れであり軍国主義になっていく息子をどこか外野から見ている視点でもあるし、なんといってもクライマックスの有名な出征シーンは戦中の戦意高揚とは真逆の演出なのが凄いです。そしていつも父親かおじいちゃん役の笠智衆が若いのが見所でした。


 大きなうねりもなく、検閲のせいなのか話の繋がりがおかしかったり、幕末の騎兵隊やら蒙古襲来やらをずっと語り続けるシーンが多くて勉強にはなりますが。面白いという作品ではないですが、作られた意義のある作品だと思いました。
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