陸軍の作品情報・感想・評価

「陸軍」に投稿された感想・評価

T

Tの感想・評価

3.7
木下惠介の映画、基本的に戦争賛美でちょっと首を傾げるところも多い。国の為に死ぬのが正義とされる日露前後の日本で、身体の弱さで兵士になり損ねる青年。戦友だ、戦友だ、人の屍の上に成り立つ友情とは如何に。わが子の命を惜しむ当たり前の気持ちを表出できない異常な世間。当時の日本人の気持ちは全く理解ができないが、現在の日本にも通ずる何か大きな力を感じた。
2013年9月15日、鑑賞。(CS衛星劇場) 

1944年であるから戦時中に木下恵介監督が作り上げた映画。

木下監督は、不本意な気持ちでこの映画製作に取り組んだようだが、軍の検閲ギリギリのところでヒューマニズムを描いた作品だと思う。

兵隊になった息子に肩たたきをしてもらう母親(田中絹代)、息子の出征パレードで息子を追いかける田中絹代の姿は、息子をおもう母親の心情を表現している名場面。

戦時中にもかかわらず、木下恵介監督が頑張った映画であった。
親子三代の国への貢献を描く太平洋戦争中の国策映画。
田中絹代が出征する息子を見送るラストシークエンスは、この一年後には空襲で焼け野原となる戦時中の町並みをとらえたものであるため非常に資料的価値が高い。この映像は原恵一監督の『はじまりのみち』でも引用されており、当時この場面が「女々しい」と軍部に怒られたことで、木下恵介は映画を撮れなくなってしまったそうだ。
人物の描かれ方が単なるプロパガンダ映画とは異なり、時代の価値観とともに生きた庶民の心の機微を活写していた。ゴリゴリの軍人気質の父親たちが威張ったり、見栄をはったりして、日本男児たろうと努めている様子がマヌケに見える。こんなプライドの高い人は実際に居たのだろうけど、とは言え人の親なもんだから武士になりきれずに、息子を思ったり、国を案じたり、世間体を気にしたり、つまらないことで意固地になってバカみたいだ。
親子の会話で、文字通り「衿を正して」人の話を聞くシーンがある。こんなに形式ばった所作は今ではもう見ることはないだろう。

このレビューはネタバレを含みます

 幕末から日清、日露に満州事変までの陸軍史を1つの家族と軍の関わりを見せていく話。

 冒頭から「陸軍省後援」という文字が出てきて、1944年に作られた作品なので間違いなく戦意高揚映画だとは思いますが。映画を見ると子どもを軍人にすることが誉れであり軍国主義になっていく息子をどこか外野から見ている視点でもあるし、なんといってもクライマックスの有名な出征シーンは戦中の戦意高揚とは真逆の演出なのが凄いです。そしていつも父親かおじいちゃん役の笠智衆が若いのが見所でした。


 大きなうねりもなく、検閲のせいなのか話の繋がりがおかしかったり、幕末の騎兵隊やら蒙古襲来やらをずっと語り続けるシーンが多くて勉強にはなりますが。面白いという作品ではないですが、作られた意義のある作品だと思いました。
okapy

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4.2
反戦めいたプロパガンダ映画。いや逆だ。プロパガンダめいた静かな反戦映画。この映画の内に秘めるものには実に感慨深くなる。田中絹代の明るいキャラクターが素晴らしい。肩叩きのシーンとその後の1人で物思いに耽るシーンでの涙が全て。笠智衆の着物にボーダーハットが素晴らしい。笠智衆が一人二役。それだけ信頼されていた俳優。殺し合いに行くのに笑顔で見送り笑顔で出兵する戦争なんて、、、いかれてる。ラストシーンはジーンときた。
独り言

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3.5

このレビューはネタバレを含みます

こちらも木下惠介の国策映画。
しかし本当に描きたかったのは最後の田中絹代扮する無言の母親の姿なのだろうと思う。
監視と制限のある中、国策のためではなく、苦心して良い映画を撮ろうとする姿に心打たれるシーンでもある。
あぽぽ

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3.8
お話の内容だけをとれば、プロパガンダ映画なのに、ふとしたシーンでてから水がこぼれ落ちるみたいに、日本とか戦争とかそういうことを全部取っ払った、「生身の感情」が描かれる。
理屈じゃない感情があふれ出ていた。

生前の言葉で「私はこれまで慎ましく生きる 庶民の情感を、映像で残してきた」という言葉があったが、この作品はこの言葉に尽きるように思った。
製作年度と題名からガチガチのプロパガンダ映画かと思いきや、庶民の日常がそこにあった。

ラストの大群衆と、ただ一人だけ田中絹代の取る行動の対比が非常に印象的だった。
N

Nの感想・評価

4.0
当時の陸軍からの要請で制作されたプロパガンダ映画であるが、明らかに反戦を訴えているのが分かる。男性が多く出演しているなかで田中絹代さんの演技がやたらと光り、ラストは圧巻としか言いようのないほど素晴らしい表情だった。
さあ

さあの感想・評価

3.8
プロパガンダ映画と見せかけて無言と表情で伝える恐るべき木下恵介。終盤はずっと時代背景、彼、状況も含め、なんという演出だと鳥肌が止まらなかった