時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日の作品情報・感想・評価

「時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日」に投稿された感想・評価

りっく

りっくの感想・評価

4.0
当時これだけ脂ののっている各国の映画監督を揃えただけで凄い。そして各々五輪で興味のある部分を題材に、でもやはり各監督の特徴が刻み込まれている。五輪の魅力を多角的に浮き彫りにしている。

白眉なのはミロシュ・フォアマンとジョン・シュレシンジャーのパート。十種競技の見せ場とオーケストラが演奏する「喜びの歌」の盛り上がりをシンクロさせることで、古代ギリシアの精鍛な体つきの神々の神々しさと選手をダブらせることに成功している。

シュレシンジャーのパートは選手のインタビューを交えながら、まるでドキュメンタリータッチの劇映画を見ているかのように見ごたえたっぷり。恐怖を振り払うように走り続ける選手と、心の中でささやく悪魔の声との闘い。過去をフラッシュバックさせたりと選手の主観から世界を描いている。

そのほかもアーサーペンと市川崑は棒高跳びと100メートル走の選手の肉体の細やかな動きを複数のカメラとスローモーションで観察している。これもまた面白い。
アーサー・ペンの作品が一番良い。
棒高跳び選手の肉体のスローモーション、その繰り返し。しかもほぼ無音。

あと、ジョン・シュレンジャーの作品は見せ方が巧い。『マラソンマン』の監督だからマラソン撮ることにしたのかな。
オリンピックの歴史は、映画の歴史でもあります
72年のミュンヘン・オリンピックの記録映画・・・ですが、そんな単純なものではありません
8人の監督さんによるオムニバス映画
その8人の錚々たる顔ぶれ、イコール時代を担う映像作家たち
アスリートたちの光と影
映画が総合芸術であることを教えてくれます
そしてこのような素晴らしいドキュメンタリー製作に”ゴーサイン"を出すドイツという国の寛容、寛大さに頭が下がる思いがしました
【本題】
ミロス・フォアマンが亡くなりました(2018年4月13日)86歳
アカデミー監督賞2回、チェコ出身
75年「カッコーの巣の上で」84年「アマデウス」は、今さら自分などが語るのもおこがましいので、あえて変化球勝負、この「時よとまれ・・・」を選ばせていただきました
【追伸】
監督ついでに市川崑
65年「東京オリンピック」は、監督の感性がまだ受け入れられなかったのか、試写版で国はNGを出し、修正を余儀なくされたといいます
記録か?芸術か?の論争を巻き起こしたそうです
ところが、本作品で市川監督は再びの起用となりました
"世界”は、ちゃ~んと見ているのですね
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

3.0
2017/4/18鑑賞(鑑賞メーターより転載)
タイトルの通り、1972年のミュンヘンオリンピックの記録映画。その前の五輪を美しく切り取った市川崑やクロード・ルルーシュをはじめ、当代の代表格とも言うべき世界の名監督たちがこぞって参加しそれぞれの色を出した短編を組み合わせた形で構成されている。それまでの作品の例に漏れずどれもアスリートが競う美しさ重視で、当時どんな凄い人や国が活躍したのかを知りたかった自分との好みは相変わらず(笑)合っていなかったが、それでも痛ましいテロ事件なども含めた大会の空気は十分感じ取ることが出来、収穫は大きかった。
べらし

べらしの感想・評価

3.4
「長距離ランナーの孤独」を収めたジョン・シュレシンジャーのラスト作が心に残る


誰かがやらなければならないとはいえ「あの事件」に触れるのは辛かったろうな
公式記録映画ゆえに基本的にはイージーリスニング風環境映像に見える。その中でマイ・ゼッタリング監督の「The Storongest / 最も強く」からは強いメッセージ性を感じる出色の出来だった。重量挙げのガチムチアスリートがダンベルを持ち上げては、落とす。その繰り返し。文章だと多分面白さは全然伝わらない。

合間に挿入される大量の選手用ミールの調理風景と持ち上げ/落とす映像のミニマルな流れの中で、生命のプリミティブな力を感じた。監督の風貌(グレース・ケリーのような美女)からは想像のつかないパワフルさだった。
たぶん、映画好きな人なら良さがわかるんだろう。7人の監督がそれぞれ収録していて、すごく味のある映画だった。しかし言葉がほとんどなく、退屈になってしまう場面もちらほら。映画ビギナーの私にはうーん…って感じでした。
NEMO

NEMOの感想・評価

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ミュンヘンの17日が産み落とした鬱積とした卵。
艶かしい記憶として、あらゆる手法であの日の感触、手ざわりを保存している。
だから、止まっている時だけ時は美しい。
クロードルルーシュのThe LOSERSだけ鑑賞。数年おいて2度観たが、レスリングの映像で毎回血の気が引いて観ていられなくなる。勝手に想像して勝手に苦しくなって息が詰まる。