海の沈黙の作品情報・感想・評価 - 2ページ目

「海の沈黙」に投稿された感想・評価

パン

パンの感想・評価

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沈黙を助長させるような秒針の音が心地よかった
今まですべて話したことを“この部屋の壁が聞いたこと”と表現するのが個人的にすごく好き。返事をしなくたって心には届いているし天井も壁もすべて覚えてるよね
それにしてもこんなに美しい「アデュー」は初めて聞いたよ

(フランス旅行のシーンで2度ほど映るノートルダム大聖堂はやはり最高に美しかった!)
okawara

okawaraの感想・評価

3.1
基本ハズレのない、「男同士の奇妙な友情の話」。

老人の肯定と、処女のまなざしに後押しされ、青年が向かう先は……

地味な作品ですが、幕切れは秀逸でした。
miiiko

miiikoの感想・評価

4.5
「罪深き命令に従わぬ兵士は素晴らしい」
丁寧で繊細に人の心の変化を捉えた傑作。
無駄のない脚本と演出は人間として大切なことをしっかりと私たちに伝えてくれる。
Rrose

Rroseの感想・評価

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見終わったあとうなだれるような気持ちに。言葉にするよりも無言であることの重み、あのグレーの目、そして最後の、無言の思いの伝え方、叔父さん、二度と姿が見えることはなかった開けっ放しの扉…
TOT

TOTの感想・評価

4.2
‪ドイツ占領下フランスの田舎で下宿する理想主義者の将校が、老人とその姪に滔々と両国の融和を語りかけるも沈黙の抵抗にあう。
三者が一切会話しない独白とナレーション劇で高まる緊張感。
物言わぬ姪の瞳の美しさ。
「罪深き命令に従わぬ兵士は素晴らしい」
メルヴィル30歳、長編一作目。
脱帽‬。
Ryuga

Ryugaの感想・評価

5.0

“残忍なナチス・ドイツの犯した犯罪が、人々の記憶からぬぐい去られない限り、この映画は仏独関係の改善に寄与しない。”

 ヴェルコール作の同名のレジスタンス文学『海の沈黙』が原作である本作品は、この巻頭言から始まる。とても物静かで、それでいて心に揺さぶりをかけてくる映画だった。何も語らずして見る者を映像に引き込む演技は素晴らしかった。ナチス・ドイツの占領に対して「沈黙」という形で抵抗する。その抵抗は決して容易なものではなく、徐々に抵抗者それ自体に重く枷として伸し掛かってくる。消極的抵抗が齎す効用とその難しさについてとても考えさせられた。レジスタンスと聞くと通常直接的な抵抗をイメージしがちではあるが、実際このような抵抗は如何程に行われたのだろうか。
 ナチス占領下のフランスのとある村にある一軒家で暮らす老人とその姪。彼らは家にやってきたドイツ人将校を存在しないものとして、「無」として扱う。一方でそのドイツ人将校は沈黙する二人に対し尊敬と同情の態度でもって相対する。以降毎日のように二人の前で将校のモノローグが続くわけだが、それに対してあくまでも沈黙を貫く。
 彼らはなぜ、沈黙という形をとってその場に在ろうと抵抗したのだろうか。彼らは意味を持って抵抗するわけではない。もし彼らの沈黙が意味を持ってしまうと、その抵抗それ自体が目的化してしまう。彼らは現状に「しっくりこない」から沈黙するので在ろう。強いて言うなれば、彼らはナチス・ドイツに対する抵抗以前に、意味化されることに対し抵抗したのではないだろうか。将校はある日から私服に着替えて私人として二人の前に現れるようになる。彼自身はフランスに対し敬意と憧憬を抱いており、フランス文学や音楽に対する造詣も深い。それでも彼らが沈黙として抵抗を続けたことからも、彼らは意味化されることを拒んだのだろう。
 その将校もまた抵抗する。彼は沈黙に対しモノローグという形でその沈黙、何もないという空間を破り、受け入れてもらおうと抵抗した。また、真にフランスとドイツの融合を切に願う彼はパリに赴き現実を見て絶望する。彼がその後二人に対し「今まで自分が話したことは全て忘れて欲しい」といった時の悲しみたるや幾許か。それは二人の抵抗さえも無に帰する言葉であるのだから。この言葉を発するのに、自分の理想を自らの言葉で壊すことにどれほどの葛藤があったのだろうか。老人が送ったアナトール・フランスの”犯罪的な命令に従わぬ兵士は素晴らしい”という言葉は憔悴した彼に届くことはなく、そのまま戦地へと赴いていく。その言葉を目にした将校の顔がまるでその後のヨーロッパの決して遠くない将来を示す黙示録のように思えた。
 どの登場人物も素晴らしい。瞳だけで虚しさともの悲しさを感じさせる。とても悲劇的な作品ではあったけれども、それはまたあまりにも高潔で美しかった。
yuninyoko

yuninyokoの感想・評価

4.0
まずオープニングがカッコ良すぎる。将校、沈黙貫く相手によくこんな永遠と一人で喋れるなと思って見てたけど、パリ旅行からの展開が可哀想すぎた。最後の朝のノックは家の人かと思いきやでさらに悲しい...
フランス人の叔父と姪にドイツ人将校がずっと語り続ける。
両国のマリアージュを唱える将校に沈黙で応える2人。
仕草と目線だけの演技の女の子が良かったです。
何故か引き込まれる映画でした。
marika

marikaの感想・評価

4.0
罪深き命令に従わぬ兵士は素晴らしい。忘れられない横顔と眼差し、美しい精神。これを傑作と呼ばずして。
ちろる

ちろるの感想・評価

4.2
ひたすら続くフランスの沈黙。
立ったまま一方的に喋り続けるドイツ人将校と頑なに沈黙という形で抵抗を貫くフランス人の老人とその姪。
フランス文化の断絶を目論むドイツ軍の思惑とは異なり、フランを羨望する将校の熱い思いと、主人公の姪に対するほのかな想いとそれと逆行する将校の日に皮肉な運命がじわじわと迫ってくるような絶妙な演出に唸る。

政治的なものを背負いながら自らの信念に背く行為に困惑する将校の苦しみの吐露が、時代に老人とその姪にいくつかの同情心と共感を与え始め、敵対関係の壁が少しずつ溶け始めるのが分かる、老人の心の独り言。
姪の心にも密やかな気持ちの動きが見受けられる、「あなたのことはわかった」と言いたげな目で彼の渇望した「さようなら」を発する姪の静謐で研ぎ澄まされた演技は脳裏に焼き付いている。
初めは、その存在を認めることすら許容し難い嫌悪感を将校を「無」することによって、拒絶をしていく老人と姪。
これは惹かれている相手に取られるもっとと屈辱的な対応であることは間違いない。
とにかくこのフランス人の完全なる拒絶に、真っ向から向き合う将校のフランス愛、しいては姪へのラブコールは狂気にも近い。
戦争は国同士のものであり、個の存在は完全に否定される。
しかし将校にとって、文化的に尊敬するフランスを支配し、フランス文化を踏みつけなければいけない立場の自分の矛盾を埋めるためには、たとえ屈辱的にシカトされながらも語り続けることが、唯一の精神を保つ術だったのだろう。
私も喋り続ける彼に苛立ちを感じつつも、彼のどうしょうもない永い言い訳に、憐れむようになった。

メルヴィルの初期の作品ということで、おそらく低予算の作品ではあるのにも関わらず鑑賞者に与える重圧感は若き監督が作ったものとは到底思えないほど既に完成されている。
こんなに美しい「アデュー」は初めて聞いた。

レジスタンスの最高傑作とされる原作は読んだことはない。
しかしこの作品の存在もまた文学的で、繊細な詩情を感じる良作だった。