夜の終りにの作品情報・感想・評価

「夜の終りに」に投稿された感想・評価

この前文芸坐で上映されてたから見たかったのに平日午前中の一回のみというふざけたスケジュールのせいで見られなかったから、憂さ晴らしにまたビデオで見ることにしたけどやはりこの作品には良い情感がある。

スコリモフスキが脚本に携わっていることもあってワイダらしさのあまり感じられない青さのある作品になっていたけど、話の他愛なさや油断してるとカットの切れ目がわからなくなるくらい流麗なカメラワークのおかげで、自分の中ではワイダ作品の中でかなり好きな部類に入る映画となっていた。

少しキザなところがあるけれども、10年近く後にフランスで作られるモード家の一夜のような内容を60年の時点で作ってのける先進性とワイダの演出力には舌を巻くし、朝になってからの展開も仲間の様子とか中々に沁みるものがあって良い。

ショット単位で素晴らしいと感じられたものもあり、序盤と終盤で二回飛び上がる鳩の群れや夜のバスが来るタイミング等はよくぞこんなバッチリ撮れたと感嘆したけれど、マッチ箱を使ったゲームのシーンといいかなりの労力が必要だったことは想像に難くないからその点でも感服するばかり。

アンジェイ・ワイダはその長いキャリアでコンスタントに作品を発表し続けたけど、やはり60年代までが一番演出にキレがあって好きだ。
ワイダがこんな軽やかな可愛らしい映画を撮っていたなんて。いわゆる雪解けの頃の1960年ワルシャワが舞台。社会への反発も強い野心もない、当時の“今どきの”若者たちの世相が描かれているが、ヌーヴェルヴァーグのようなこなれた感じ、柔らかさはない。その固さが逆に初々しく、解放的な性を匂わせながらそうはならない落とし所とか、ワイダ監督らしい硬質な美しい画の煌めきなどがとてもいいと思う。

男女が向き合った横顔のタイトルバックにコメダのジャズが流れる、ほどなくしてひとりの女性がその前を横切りカメラが引くとそれは巨大なポスターであるとわかる、このオープニングから最高!本名も明かさない一夜限りの男女の戯れは『ローマの休日』を思わせる。女優さんの容姿も衣装もヘプバーンを意識しているような。

スコリモフスキが脚本に参加、映画スタッフとしてプロデビューした作品でもあり、ボクサー役で出演もしている。自分より12歳若い彼の意見をワイダは積極的に取り入れたらしい。
大作ではないけどとても好きな愛すべき作品。
ポーランド派のワイダ監督が、政治色のない作品を撮ったのが、本作。
お洒落な雰囲気ではある。

マッチ箱の賭けとスカーフの口止めシーンがよかった。
あと、なんと言ってもラスト。
恋の駆け引きは難しい。
プレイボーイのイケメン医師が、バーで出会った若い美人をお持ち帰りしたというだけのお話。
政治的メッセージ性のない、ヌーベルバーグのようなスタイリッシュさが意外。
マッチ箱を弾いて、面積が少ない面が底になった時が一番点が高いというゲームのシーンがだらだらとしていてよかった(しかも野球拳)。VHS。
朝イチに『夜の終りに』上映する新文芸坐の粋。
女優が綺麗すぎ。日本人には到底出来ないキザでスタイリッシュな台詞とジャズとモノクロの演出にムラムラした。
どエロイ。
とてもアンジェイ・ワイダ監督の作品とは思えなかったです。作風はゴダールかカラックスかというぐらいのヌーヴェルバーグ調に仕上がってます。
男女の一夜のアバンチュールをスタイリッシュな映像と洒落た会話は面白いと思いますね。
ワイダ監督の真価は間違いなく抵抗三部作にあるのですが、彼にとっての異色作でした。本作の完成度は名匠であることを再認識させられます。
仕事や恋に大変器用な主人公アンジェイが、ある夜に逢ったペラギアという女性は魅力的でありました。彼女に翻弄されるアンジェイ…。口説くほうがアンジェイなので、一見彼が主導権を持ってるように見えます。日本でいう野球拳のようなゲームをしてる時はペラギアをいじめてるように見えます。でも現実は男が女に口説かされてるだけなのです。そこの描き方は上手いと言いたいです。
単調なストーリーですが、洗練されたヤングアダルトの恋の駆け引きは恋愛の醍醐味を描出してます。
個人的に興味があるのは、共産国家ポ ーランドで本作を制作した意図です。新しい時代のポーランドを表現したかったのでしょうか?このような作品が世に出たことが、共産主義を受け入れることに躊躇する国民の気持ちを暗喩してるように思えますね。これ、考えすぎでしょうか?
wkm

wkmの感想・評価

3.5
始めはプレイボーイ&ガールの駆引きをジリジリ見せられて土俵が違う...と感じてたけど、夜が明けてガールが消えてから次第に疑いの念が深まりからのラストシーンが良かった。スカーフで示す線引きと、またね。
この世界のどこかにあるはずの、自分の肌で触れられない夜のことを、かろうじて、この限りあるフレームの中に収めてくれる。街の中ではなく、確固として存在させた部屋にのみ、彼女は見つかる。


この映画では、リアル感を味わうことができた。

最近の映画では、夜すぐにセックスをしてしまい、次のカットでは裸の2人が寝ている朝に変わっているというのが多い。

この映画では、ずっと喋り続ける2人を描いていた。
途中、キスをしたり、野球拳もどきなゲームをしていたりと、性に関連することが出てきたものの、結局は何もなく一夜が明ける。

喜怒哀楽はかろうじてあったが、盛り上がりが全くない映画であった。

素晴らしい。
これこそが リアルであり、
映画のあるべき姿ではないだろうか。

パターソンの次に この映画を観れて良かった。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

4.0
ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダといえば「灰とダイヤモンド」のような共産主義の体制や戦争を痛烈に風刺する極めて硬派な社会派の監督だが、この作品のようなラブストーリーも作っていたのか!ふとしたきっかけで知り合い、ふと男の家に寄り道をして一晩限りの関係を築きそうな男と女の越えそうで越えない微妙な駆け引きを極めてプラトニックに描く。おそらく「自由主義の堕落」の象徴のような派手な恋愛が描けなかった時代、このような形で静かに恋が出来上がる過程を優しく紡ぎ出すワイダの引き出しの多さに改めて驚かされた。
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