はじまりへの旅の作品情報・感想・評価 - 599ページ目

はじまりへの旅2016年製作の映画)

Captain Fantastic

上映日:2017年04月01日

製作国:

上映時間:119分

3.9

あらすじ

「はじまりへの旅」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

モスキート・コーストみたいなアウトドアパパの独裁映画かと思いきや、家族が響き合う映画。

変な教育方針だし奥さんの遺言状も変だが、夫婦は夫婦、親子は親子。

誰かが楽器を弾き始めれば、続けてみんながセッションを開始する。

ヴィゴ・モーテンセンもただのペニスを出しながら熱演!
はじまりへの旅

6人の子ども達と共に、ワシントン州の山の奥深くで生活する一家の父 ベン・キャッシュ(ヴィゴ・モーテンセン)。
世俗との直接的な関わりを遮断し 独自の教育方針に基づいて生活を送っていたある日、入院していた一家の母 レスリー(トリン・ミラー)の訃報が届く。
火葬を望んでいたレスリーの意に反し キリスト教式の土葬が決行されようとしていることを知ったキャッシュ家は、母の願いを叶えるべく 森を抜け出し一路ニューメキシコを目指す。
生き方が異なる者達の誤解や衝突を通し、家族の繋がり 人の可能性を描いた作品だ。

人生にルールはない
幸せの定義も人それぞれ
自分の生き方を他人に押し付けるモノではないし、他人の生き方を自分が否定するのも筋違い
それを心得ていながらも、同じ世界で生きる者同士 必ずどこかでブツかってしまうのが現実だ。

身体能力・知識において、あなたやぼくはキャッシュ家の人間に敵わない
でも、彼らには家族以外の人間との関わりが欠けている
個としての能力においては秀でているが、全として考えた時 それが全てではなくなってくる。

誰にでも当てはまることだが
今の生き方や物事への向き合い方が、この先もずっと通用していくとは限らない

世界は常に変化し 移り変わっている
100年前の人間達は今の世界を想像できただろうか
10年前のぼくらでさえ、スマホ全盛のこの時代を見据えてはいなかったはず
適応・順応していけるだけの心と体の柔軟性がなければ、必ずどこかで壁にブチ当たる。

キャッシュ家の生き方は、人間の本質に則った素晴らしいモノに感じられる
子どもも一人前の人間と見做し、嘘偽りなく対等に接していた
この世の理を早い段階から教え込んでいた
たくさんの不必要なモノに囚われて生きるぼくらには到底マネできることではない

仮に明日核戦争が起きて世界が荒廃しても バイオテロによるパンデミックが起きたとしても、彼らなら絶対に生き抜ける
が、今の所世界は大丈夫そう

あらゆる事態に対処できる能力を高めるよりも、今の時代 他者との関わりにおいて心が壊れてしまわないようにする力の方が重要ではないだろうか
いや、時代云々は関係ないか
今も昔も、人との関わりが全てである。

あなたがどんな人生を送ってきたのかは分からないが
これまでの人生において、人と分かり合えたことよりも 分かり合えなかったことの方が多いと思う
相互理解の道を模索するより、相手を捩じ伏せる方が手っ取り早いことを心得ていると思う
世界は残酷で、人と人はそう簡単に理解し合えないことも身に染みていると思う

守りたいモノ 譲れないモノ 曲げてはならないモノが、誰の心の中にもある
たとえ誰かにそれを貶されようと 口論になろうと 論破されようと、心が揺らいでいない内は大丈夫
その想いを抱えたまま生きていける

だが、一片でも揺らいでしまったのなら 自らに疑念を抱いてしまったのなら
覚悟を決めなければならない時が、変化を受け入れなければならない時が訪れたのだと思う

自らの意志を曲げること
それはネガティヴな行動に感じられる
妥協だとか挫折だとかの類いに思えてしまう。

けれど、そうではない
むしろ前進
相互理解への第一歩である

人と分かり合えない時、相手を捩じ伏せる以外の術があるとすればただ一つ
「自分が変わること」だけだ。

自分が変われば相手も変わる
相手の論理に平伏すのではない
相手の論理を受け入れ、その上でのアクションを起こすということ

言葉にすればカンタンに感じられるけど、実践することが何より難しい
相容れないモノ 得体の知れないモノは、端からシャットアウトしてしまいがち
相手の想いを汲むことより、どうしたら相手を黙らせられるか 屈服させられるか
そんな思考に囚われがち。

人生にルールはないと言ったが、心の在り方においてのガイドラインはあるのだと思う

イヤなこと 苦しいこと 死んじゃいたくなること
それらは否が応でも訪れるが、心の負担を和らげる術が 痛みや喜びを誰かと分かち合える術がこの世界にはある
絶対的な幸福の獲得は見込めなくとも、訪れる不幸を緩和する術は残されている

それは、人との関わりの中でしか見出せない。

山を降りたキャッシュ家
相容れない者達との接触を経て
もがきながらも変化を受け入れ
より深い家族の絆を、大切なモノを構築していった。

全てを手放す勇気があってこそ、より多くを得られるのだと
その先には苦しみだって待ち構えているけれど、より大きな幸福を得られる可能性だってあるのだと

今を 明日を変えていくための勇気を与えてくれる作品でした。

ぜひ劇場でご覧ください。

青春★★★★
恋 ★
エロ★
サスペンス★★★
ファンタジー★★★
総合評価:B
kiguma

kigumaの感想・評価

4.5
# はじまりへの旅

["普通"という現代の宗教]

ヴィゴ・モーテンセンの映画を見るのは指輪物語以来。
彼の映画の選び方は非常に個性的、そして恐らく本作は彼の代表作になる。


この映画で面白かったのは、文明社会の在り方をおちょくりながら、でも、ヴィゴの価値観も絶賛していない。

批判する相手の正反対の果てに歩み続けると、結局不自由になってしまう。ヴィゴは自由を選ぼうとしていたのに自らの価値観に縛られて身動きが取れなくなっていく。

明るく描いているえど、例えば報道でこの家族を知れば、ヴィゴは児童虐待のカルトかぶれの親と思うだろうし、事実そうだ。

劇中、彼は子供達に常に考えて自分の言葉で説明するように求める。これは我々に最も欠落している資質だ。
我々は「普通」とされるものを信じ、「普通」を演じて、「普通」に毎日を追われる。
疑う事なく。「そういうものだから、どうなっているから」と繰り返しつつ。
肉体と共に、考える力は病的と言えるほど衰えていく。

対して、長男のボウが投げかけた言葉が印象的だった。

「でも、僕達の知っている事は本に書かれている事だけだ」

自分の頭で考える事を教えてきたつもりだったのに、子供達は知識と肉体が完全に分離してしまった。
おそらくその二つを繋げる触媒が「社会」なのだ。
「良い社会」か「悪い社会」かは関係なく、社会の中で生きる事が、唯一、知識を筋肉に定着させる事が出来る方法なんだろう。

映画を見て思いだしたのは、最近のサンフランシスコIT企業の話。
優秀な人材を確保するため、IT企業は様々な福利厚生を社員に提供する。

・24時間無料のカフェテリア
・Wifi完備の高級バスの送迎
・朝ランドリーバッグを会社に預ければ、夜に洗濯されて受け取れる

雑用をさせない、無駄をさせない、四六時中仕事の事を考えていてほしい、出来ればずっと会社にいて欲しい。
この話を聞いた時、最近のGoogleにあまりときめかない理由が分かった。

自分と同じような天才に囲まれ、天才だけと話し、天才だけとカフェで食事し、仲間とだけ隔離された場所で暮らし、効率の悪い家事は一切やらない。

天才は効率化を好む。天才は天才に共鳴する為、無駄や非効率はどんどん切り落とされ、自分達の環境はどんどん純化されていく。
馬鹿がいない世界は天国なのだろうか?多様性がなければ動物でも植物でも一つの病気で絶滅する。

彼等もまた、ヴィゴの家族のようなカルトなのだ。

そして、この映画の素晴らしかったところは、悪人がひとりも出てこないところだ。
対立する社会にいて、混乱し、もてあますが、文明社会側の人も傷つきながらも道を模索している。

純粋で、分かりやすいものには、必ずどこかに歪みがある。
社会とは、清濁合わせ持つ人間のネットワークで、インターネットのように例えその設計に限界があったとしても、多様性と柔軟性を持つええかげんな柔軟さで今日の社会を支えている。

生きる事はInstagramに咲く花ではなく、道ばたで犬におしっこをかけられるタンポポなのだ。
iku

ikuの感想・評価

3.5
創造していた話と違く、暗い部分が多かったけど、ヒッピー?の人生観がよく分かった。
hrtaka

hrtakaの感想・評価

4.0
何でこういう生活をしているのかがずっと気になって、それが分からないからちょっと何が言いたい映画なのかが見えて来なかった。自由と自分勝手は紙一重とも取れるし。
但しSweet child O' mineのシーンは素晴らしい。
きなこ

きなこの感想・評価

3.7
評価は分かれそう。
この世界観についていけるかと言われると正直わたしも厳しいものがあったけれど、なんかグイグイ訴えてくるものは感じた。

パパが、子供の意見にしっかり耳を傾ける姿は良かった。この家族の絆は、何だかんだと強い。
野性味あふれる子供達は、学校では学べないものを学んできたのだろう…でもパパのように外の世界を知っているからこそ、できる振る舞いもあるのかなあ、なんて、結論はないけど考えてしまいました。
時にはギョッとするようなパパの教育だったけれど、子供達に自分で考えて選択する力が育っていたことが、また考えさせられるところ。愛情と真摯さも常に見て取れたし。
人物も設定も、かなり独特ではあるけれど、魅力ももたせてあるから観れるかなー。

子供達は可愛いなーあ。
マオ

マオの感想・評価

4.7
初っ端から狩のシーンで、がっつり解体映像もある為、そういう映像や血が苦手な人はちょっと注意かも…


音楽、ファッション、全て最高なロードムービー。
とってもよかった。想像よりずっと好きだなあ。

自分と妻の子どもたちへの教えは間違っていたのかと悩むシーン、世間との違いを突きつけられた時の葛藤、とにかくキャッシュ一家の家族愛が素晴らしくて美しい。
あまりにもあったかくて、後半涙が止まらなかった…泣きすぎて目が真っ赤でぱんぱんですよ。。

家族での葬式のシーンがほんとに最高!!
カラフルな衣装に身を包み「任務:ママを救い出せ!」で母の遺言を実施する家族愛に拍手!幸せの形に拍手!
みんな違ってみんないいというけれど、まさにそうで、幸せも大切なものもみんな自分が思う通りでいいんだよ!

子どもに嘘を教えない、つかない という教育方針。
聞かれたらどんなことだってしっかりと答え「子どもにはまだ早い」なんて言葉は絶対に言わない。
どんなことだってしっかり意見や考えを言わせる。
こういう風に育てられた子どもたちだからこそ、
しっかり学びしっかりした考えがあるんだよね。

世間で求められるものや、"普通"って一体なんなのか。
よい学校を出て、いい仕事に就くことだけが全てじゃない。
ただおじいちゃんが言うことも正論ごもっともで。
山にはない一般常識は知っていないといけないし、でも、街でスマホやゲームに囲まれながら生きていたら知ることはできなかったことを彼らはたくさん知っている。

だからこそラスト、ベンが出した結論が素晴らしい。

「毎日が最後だと思って生きろ」
98suke

98sukeの感想・評価

4.7
ストーリー、出演者、音楽、衣装、メッセージ性、どれをとっても好き。

誰もがいいと思うような超名作ではないのかもしれないけど、少なくとも自分にはとてつもなく刺さった。
正しい教育って何だろうと考えさせられた。本に書いてあることを学ぶのも大事。でも、他人と交流する社会のなかで実感で学ぶことも大事。

映画としては、あまり入り込めなかった。母の死がメインの話かと思えば、途中から教育とか親子の絆の話に刷りかわる。主人公の気持ちの変化も突然すぎて感情移入できず。
ラストの中途半端な生活の変化も納得いかなかった。
2017/024

◼︎はじまりへの旅
監督:マット・ロス

10年間の森の中での生活の後、母の自殺をきっかけに再び社会へと出ていく旅に出る話。
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父親はバリバリの共産主義者で資本主義やキリスト教を敵視している。ただ、だからといって聞く耳を持たない訳ではなく、自分が間違っているとわかると素直に謝る常識人。頭も相当良いうえに運動能力も抜群。森の中で生きるために野生の動物を狩り、切りだった崖を登る。その教育を受けた子ども達はさながら忍者の里に生まれた下忍達の様。
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そんな彼らが母親の自殺を機に自分達を見つめ直す話なんだけど、うちの両親と似ているからか凄い共感。うちの母親は資本主義が嫌いでマクロビオティックの食事を実践していて、動物性の物は一切口にしないのだけどそれを思い出した。なのでなんか人ごとじゃなかった。
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父親がすることがしてる事は子どものためってことなんだけど、結局それは彼のエゴで、最初は子どももそれに対して誇りと自信を持ってるんだけど、社会に出ると自分だけ違うってことを気づいて親に反抗するようになる。それで反抗期があって、大人になってそれと折り合いがついていく。そう考えると、この家族に起こったことはどんな家族にも当てはまるんじゃないかと。