お盆の弟の作品情報・感想・評価・動画配信

「お盆の弟」に投稿された感想・評価

3786

3786の感想・評価

2.5
「キャッチボール屋」くらいとは言えないがほっこりできた。ある意味「人の不幸は蜜の味」的映画。
渋川清彦さん、ダメ男を演じさせたら右に出るものはいないのではないか。

しかも、どんな種類のダメ男でも完璧に演じ分ける凄さ。

なんにもできない情けないダメ男から、
ろくでもないガラの悪いヤクザまで、
本当にこの人の素なんじゃないかってくらいの演技力。

40年間彼女のいない親友にダメ出しされ、
奥さんにダメ出しされ、
それでも素直になれないダメ男。

なんてもったいない。

それでも諦めきれないダメ男。
ちろる

ちろるの感想・評価

3.7
凸凹兄弟、顔も性格も価値観も何も似てない。
仲良いわけじゃないけど、2人の会話がなんか愛おしい。
モノクロームで綴られる古民家で、兄の大腸癌をきっかけでまた男2人、同居生活を始める。
生きるってとっても不格好。
すれ違ってしまった夫婦、何とか取り繕うと必死になっても鬼嫁にはまかり通るはずもなく、違う形で歩み始める妻のうしろすがたにすがる術はもうない。
渋川清彦さんで映画監督っていうと、「下衆の愛」というのがあったけど、あれとはまた違った意味ですごくハマってた。
多分何もかも感覚がまともで、まともすぎるから憧れの映画監督として翔けない。そんな主人公の不器用さは多くの人が共感できるのではないかなと思う。
凸凹兄弟の行ったり来たりのゆるーいやりとりも含めてなんとなく観心地良くって最後はまさかのww
切なさとほっこりが同時にくるような、実に邦画らしい作品でした。
渋川さんは駄目な男を演じさせたら天下一品。どうしようもないやつだけど、神社で神様に住所を伝えて、口に出して願いごとしたり、兄に美味しそうな料理を毎日作ってあげたり、何となく憎めない、愛すべきダメ男感がでている。
がんで手術したばかりの兄貴のこと、別居中の妻のこと、日の目を見ない映画のこと、騙しているいい感じの恋人候補のこと、腐れ縁の友人のこと。半径5mの生活しか描かれないし、特に映画としてうまくまとまってるとも言えないんだけど、よくわからん味わいがある。

大崎章監督は前作「キャッチボール屋」もそうだけど、魅力を説明するのが難しい映画を作る。「オフビート」とくくるのはなんか違う……。微妙に笑えるけど別にコメディを志向してる訳でもない。

とことんダメだけど、自己肯定感の高い主人公の造形が好きなのかな。なんかいいことあった日に楽しそうにピアノ弾いてる光石研、それをうれしそうに眺める渋川清彦が並んで映るシーンがいい。
くぅー

くぅーの感想・評価

3.9
妻とは離婚寸前で、くすぶり続けている中年の映画監督が、兄のために故郷に帰る・・・いわゆる、どん詰まりの人間模様を描く作品ゆえに、好き嫌いは別れるパターンかと。

コミカルながらも核心を突いて来たり、個人的に身に詰まされたりもしたが・・・エピソード捌きの巧みさに、あえてのモノクロ演出が味のある余韻に持って行く。

そして、久しぶりにお盆の墓参りするラストの弟の表情がまたいい。

そして、光石研と渋川清彦・・・・芸達者過ぎる二人の共演には、やはり終始ニンマリしっ放しだった。
hiyori

hiyoriの感想・評価

3.6
「百円の恋」の足立紳脚本の作品。主人公は新作映画を一度出したっきりくすぶっている男で、監督と脚本家の自伝的作品らしい。成長することをやめてただ留まっている状態というのが百円の恋と共通している堕落さを感じた。そしてその状態にあることに自分でも気付いていないのがこの映画の痛々しさでもある。弟タカシが映画監督を目指すだけの専業主夫にやりがいを感じてしまっていることからもそれが読み取れる。先ほども本作は自伝的作品だと書いたが、まさに今作のテーマも自己を俯瞰的に見るということだ。他のキャラクター(妻、友人、兄)は良くも悪くも自分の現状が把握できていて、思い悩みそこから抜け出そうとする姿がある。対してタカシは日課にしている神頼みを繰り返しどうにかなるであろう日常を過ごしている。映画の作者が映画監督を題材に描いているのにもかかわらず、映画製作の苦悩が全く描かれていない点からストレスフルな環境を無自覚にも避けながら生活してきたことが伝わってくる。タカシは離婚という成り行きが避けられないことを知って初めて自分に対して誠実でなかったことに気付く。兄や友人がそれぞれハッピーな結末を迎えているのに対してタカシはまだ人生のスタートラインに立ったまでに過ぎない。それでも悲しさより前向きな感情で映画を観終えることができるのはタカシの楽観的過ぎる性格からだろう。ここ数年で多くの映画に出演している渋川清彦の演技力の凄さを改めて感じる。
joker

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3.5
どこにでもありそうな、
ごく普通の兄弟の物語。

渋川さんと光石 研さんの芝居が、
無駄がなくてとても見やすい。

岡田 浩暉さんのハイテンションが、
常に面白くて笑ってしまった。

脚本も演技も別に文句はないのだが、
なぜずっと白黒だったのだろうか。

むしろカラーにしたら、
もっと映えた景色が沢山あったと思う。

そこだけが唯一気になってしまった。
ゆる~い感じで話が進み、登場人物たちのダメさが所々ツボにハマり、クスッと笑いながら観る。でも、そうは言うものの、自分も本当は同じ程度の人間なのだと、どこかしらでわかってはいるので、観ながら気持ちは痛くなる。

このままずるずると、ゆるいまま、痛いまま、終わりに向かうのかと高をくくっていたら、ラストに向けてガゼン話が面白くなり、家でダラダラ観ていた自分も、気づけば前のめりで画面に食いついている。同程度の人間と知ってはいながらも虚勢を張り、やや上から目線で観ていた自分であったが(それはとても恥ずかしいけど)、気づけば声をあげて “私も同じだよ!” と自ら駆け寄って、握手してもらいたくなるような、そんな気持ちである。


タイトルの『お盆の弟』の意味の深さを、あとから考えてみたい。


(余談です。この映画の兄弟の家と、『14の夜』の主人公の家とが、同じ場所のような気がする。勘違いかもしれない。どちらにも出演していて、とても愛くるしい光石さんに尋ねてみたい。)
人間ドラマなので白黒でいいんだけど、白黒の良さが出てるのかは分からない。無駄に長く感じる一つ一つのシーンが、田舎のスローなテンポを表現している。現実に対してもがいている魅力的でない人間として終わってしまっていて、愛くるしさが弱い。そこを感じられるかどうかが肝の映画なので厳しい。
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