女の一生の作品情報・感想・評価 - 5ページ目

女の一生2016年製作の映画)

Une vie

上映日:2017年12月09日

製作国:

上映時間:119分

3.5

あらすじ

男爵家の一人娘として生まれ、17歳まで修道院で教育を受けた清純な娘、ジャンヌが親元に戻る。親の勧める子爵ジュリアンと結婚し、希望と幸福を胸躍らせ人生を歩みだしたかにみえたジャンヌだったが、乳姉妹だった女中のロザリが妊娠、その相手が夫ジュリアンであることを知る。夫の度重なる浮気、母の死、溺愛した息子ポールの裏切りと・・・ジャンヌに様々な困難がふりかかる。

「女の一生」に投稿された感想・評価

TOT

TOTの感想・評価

3.9
‪退屈で受け身に見えても頑なに自分を生きた女性の生涯が情感を伴って現代に立ち上がる。
『ティエリー・トグルドーの憂鬱』のブリゼ監督からモーパッサンへの果たし状、主人公ジャンヌへの素敵なラブレター‬。
モーパッサンを翻訳したように豊かな自然の映像、スタンダードサイズとハンディカメラの閉塞感、抑圧と記憶の重なり(それと断絶)を思わせて詩的な編集が合わさり、省略を効かせつつ雄弁に描かれるジャンヌの世界。
希望か絶望か、遠くを見る彼女の横顔が幾度となく映し出され、どんなに孤独であっても彼女を見つめる視点があること、彼女の視点で進む物語であることを思わせる。
襟元に光を受け、裾には泥をつけ、時に海風にあおられるドレスが、彼女の年齢と環境の変化を表して美しく、特に細やかなレース刺繍の素晴らしさに目を奪われる。(『ジャッキー』でアカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされたマドリーヌ・フォンテーヌのお仕事でした。おお)
夢と喜びに満ちて完全だった少女時代から遠く、結婚し子を育て、信じた人に次々と裏切られても、また人と自然の営みによって癒されるジャンヌ。
ラストの先で、彼女はまた裏切られ絶望するかもしれない。
でもまた「世の中って、人が思うほどいいものでも悪いものでもありませんね」と思うかもしれない。
そんな凡庸に繰り返す普遍の存在に揺さぶられて慰められた。
なつ

なつの感想・評価

3.8
ラストシーンの言葉が、ある意味、この映画の“キモ”だと感じたのだが…。
岩波ホール、私が最年少でしたね。
人生の酸いも甘いも知り尽くしたであろうご婦人方でほぼ満席。
この台詞の後、結構“失笑”が、そこかしこで漏れた。
聞いてみたかったなぁ、共感出来なかったの?それとも、人生はこんなもんよの笑い?と。
古今東西、同様の悩みはあるでしょう。
女癖の悪い旦那、金癖の悪い息子。
“許す”にしても、時間をかけないと、繰り返すよ、その人達は。
まずは、自分を大切にして欲しい。
私のように能動的に生きてる女も、主人公のような受動的な女も…
“幸せ”は、自身の“心”が決める。
Osamu

Osamuの感想・評価

4.1
おもしろい映画体験だった。

舞台は19世紀中頃のフランス。男爵の娘ジャンヌの人生の物語。

モーパッサンの名作にステファヌ・ブリゼ監督が挑む。

何が起きたのかは直接には映さない省略が多用されていて、省略のジャンプと、省略を埋める想像を引き出すカットのリズムが気持ちよく、おもしろい映像表現だった。

原作を数日前に読み終えたばかりなんだけど、曇天のどんよりとした画面は原作を再現しているように感じた。一方、登場人物たちが実態のない思い出のように過ぎ去って行く感じは原作とは異なる。ブリゼ監督がこの映画用に選んだ手法だと思う。この手法により、ラストシーンの解釈がストンと腑に落ちた。

名作ものは原作をどう映像表現するのかを観るのがおもしろい。そのおもしろさがギッシリ詰まっている感じだった。

原作を読んで準備万端のつもりだったけれど、ブリゼ監督の過去作をもっと観ておけば良かったと後悔。ブリゼ監督の作家性をもう少し理解していたら更におもしろかった気がする。
シアフランス監督作『光をくれた人』と本作『女の一生』における『許しの解釈』は、『根本的に異なる印象』を受けました。


『光をくれた人』における許しとは、相手の許しを乞うことはせず、『罪を背負う覚悟』を決めた者に向けられた言葉でした。


一方『女の一生』では、相手の許しを乞い、『元の生活に戻りたい願望』を持つ者に向けられた言葉です。


周囲の人間はジャンヌ(主人公)に対して、『罪を許せ』だの『倫理に背くな』だのと"正しさ"を振りかざすばかりで、『彼女の優しさ』には目もくれません。


正しく生きている人間に対して、『正しさを要求する権利はない』かと思います。
愛する人ほど裏切り去っていく。
不運な時ほど、何かに希望を持っていたい。
純粋すぎる主人公に苛立ち哀しみ、なかなか体力がいりました。

通常よりもあえて狭くしたというスクリーンと
次第に暗くなっていくドレスの色が、主人公の心をより濃く感じさせます。

最後の一言は救いと思いたいけれど、ここまでくるとこれもまた嘘なのではと、素直に受け入れられない自分がいます。
大人の女性なら、どこかに少しは通り過ぎた経験が見つかると思います。
RYO

RYOの感想・評価

3.9
この映画、間違いなく年齢を重ねた女ならとりあえず大丈夫。結婚・夫・家・親族・社会・子ども・地域・介護、どんな女性もどっかで絶対カスってる。信じていた身近な他者からもたらせれる苦悩。信じてたからこそ辛い、でも何回でも信じたい自分。 国も時代も違うのにこの「あるある」感いったい何?古今東西、女の一生(直訳「ある人生」)って、濃くて深くて重いのか。自分の身体から産まれた子を抱く至福の喜びや、幼児と母親のみに与えられる究極の相思相愛との引き換えか。

主人公がとっても美しい。デコルテから輪郭の完璧フォルムが本当に文学的。始まり方や終わり方含め、説明的な要素を全て排除して、文学作品をそのまま映像にした情景はとっても素敵。ベクトルはいつでも主人公の内側向き。もっと引いて 壮大に見せてほしいすばらしい自然の景色が随所にあるのに、絶対にそう見せず、主人公中心でみせるとこ、こだわりを感じたな。
shiron

shironの感想・評価

5.0
一人称映画 ある女の愛の遍歴

電気の無い時代の物語なので、夜は暗いです。
基本、灯りはロウソクか暖炉の炎。
寝室のシーンでは、オレンジ色の光に照らされた主人公の鼻の形から「ああ、こっち向きに寝ているのね。」と推測して見ていました。
夜中に外に飛び出すシーンは、真っ暗な画面に声だけしか聞こえず…。
こんな演出なのか?
それともスクリーンの端から光がもれているせいなのか?
はたまた非常灯が明るすぎるせいなのか?(^◇^;)

なので、ハッキリ見えた方とは映画の印象が違うかもしれませんが、レビューさせていただきます。

トークショーで「昔の女性は自分の人生を選択できなかったが、現代の女性も人生を選択できると思わされているだけ。」と仰っていたのが印象的でしたが、
どちらかと言うと私は、愛されるより愛したい女が、限られた世界の中で裏切られ続けながらも、愛する対象を求めていく“愛の遍歴”映画だと感じました。

もしかしたら、簡単なあらすじは知っておいて見た方が良いかもしれません。
ねっとり長回しのシーンがあるかと思うと、決定的な映像が無かったり、3つのショットだけで済ませたり(←コレお気に入り)
「すごく面白いけど、なぜ?」と思いながら見ていましたが…
ダメンズに振り回される度に回想シーンが挟まれるところから「これって、一人称の映画なんだ!」と気付きました。

彼女は、最悪な事態の時に、過去のお気に入りのシーンを脳内再生してプチトリップすることで、なんとか現実との折り合いをつけているようで…。
だから、彼女にとって思い出深い情景は長回しで、忘れ去りたい出来事はショットだけで済ませていたのか。
映画そのものが彼女主観で構成されているとは!

そう見ると、唐突に息子の存在がクローズアップされるのにも納得。

残念なことに、溢れる愛をただただジョウロで注ぎ続けたいだけの彼女は、息子を根腐れさせてしまうのですが…それもまた致し方なし。
愛のバランスって難しい。失敗から学ぶことの多さよ。

ラストシーンは次なる獲物にロックオンしていましたが、美しい花に育ってほしいものです。
ノルマンディーの荒々しい海と曇り空を背景にした場面や
ヒロイン ジャンヌが父の男爵と共にジョウロで水をやり畑を耕しながらドレスの裾が汚れる様子が印象に残る

達観したような、もの思いに耽るような
ジャンヌの横顔は
若い時の無邪気さと 幸福の輝きと 年老いてからの疑い深さと
様々な心情を反映する

物語の筋書きをたどるのではなく 場面ごとのジャンヌの心を覗き込むようなつくり
観る側も簡単ではない
ギイ・ド・モーパッサンの名作を「母の身終い」「ティエリー・トグルドーの憂欝」のステファヌ・ブリゼ監督が映画化した本作を観ていると、「人生いろいろ」という演歌を思い出してしまう。
原作小説は学生時代に読んでいて、邦洋画共に何度も映画化されているので、何作かは過去に鑑賞しているが、ステファヌ・ブリゼ監督の本作は現代にも通用するように“再構築”しているように感じられる。
「母の身終い」や「ティエリー・トグルドーの憂欝」の主人公は逆境にいて、その中で自分の信念を貫く姿が描かれていたが、本作のヒロイン・ジャンヌは、ある意味“究極”の逆境に追い込まれていく。
彼女の場合、現代女性と違って自分の意志で恋愛や結婚、そして職業においても選択肢がなく、両親を中心とした家族の意向で人生が定められてしまう。
ある意味、大海に浮かぶ小舟のように人生を翻弄されてしまう訳だが、それにしても様々な意味でジャンヌは男運が無い女性だと思う。
この“だめんず”によって親友と思っていた乳姉妹や伯爵夫人に裏切られ、頼みとする神父の助言は裏目に出て、夫との間に出来た嫡子を溺愛するも、後に彼女は愛息から手痛いダメージさえ与えられる。
だからといって彼女は何とかその状況を変えようと動く訳でもなく、どんなに酷い運命でも恰も神から与えられた試練と考えて生きていく。
そんな彼女を精神的に支えるのは、過去の美しく楽しい思い出の数々。
映画は逆境にいる彼女のシーンを暗い寒色で、思い出のシーンを明るい暖色で彩って強いコントラストを成していく。
この受け身の人生を送るジャンヌは傍から見ると弱い女性のように感じられるが、決してそうではないと思う。
身体が凍えるような逆境にあっても、彼女はそれに静かに耐えて自分が正しいと思ったことを貫こうとしている。
それは荒野のような所に凛と立つ彼女の姿によく表れていると思う。
そして訪れる何とも言えないラストのシークエンス。
そこで乳姉妹のロザリがジャンヌに掛ける言葉がいつまでも心に残る。
ゆりか

ゆりかの感想・評価

4.0
試写会にて鑑賞🎥

物語は静かに淡々と進むのに、内容はなかなか衝撃的でスキャンダラス⚠️⚠️⚠️
ドロドロした内容ははずなのに、ヨーロッパの美しい田園風景とフランス語のセリフで、全然そんな感じはなく、むしろカラッとした印象でした。
ただただファッションとインテリアがステキ✨✨
やっぱりフランス映画好きです😍💓💓