パサジェルカの作品情報・感想・評価

「パサジェルカ」に投稿された感想・評価

イシ

イシの感想・評価

4.5
夫婦が船旅をしている。船上で、妻はある女性を見かけ動揺する。
彼女が夫に語りはじめたのは、二次大戦中、自分がナチの収容所の女官として勤めていたこと、船上で見かけた女性が、そこで目をかけていた女囚によく似ていたこと…。
二人の間にあった出来事が回想される。

撮影途中でムンク監督が亡くなったため、スチール写真とナレーションを使って仕上げられた映画だけど未完成さはなく、様々な視点が入ることで、彼女たちの物語がどんなものだったか、監督の思いはどこにあったのだろうか、そういうことを問い返す映画になっているから面白いと思う。
テンポがよくかっこいいけど、悲しくて複雑な、良い映画と思う。
現在を静止画像かつスタンダードサイズで、過去をシネスコサイズで見せる演出は、未完成故なのだが、これはこれで工夫のようにも感じられて、むしろ良いんじゃないかと思いました。
ナレーションは、主人公リーザの一方向的な側面から語られるが、テーマには合っている。
過去回想の冒頭、輪の中女性たちが中から逃げようとして阻まれたり、複数の犬が皆同じ方向を向くカットが連続するなどナチスの体制を隠喩的に表現している点に工夫がある。
riekon

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3.0
監督が亡くなってしまった為未完の作品。ホロコーストでの女看守リーザと女囚マルタの関係を描いているのですがリーザが何故あんなにマルタを気にかけるのか分からなかったな。
後半は意地になってる感じもあったけど。ラストがどうなのか分からないのでとても残念です。
ロラン

ロランの感想・評価

4.0
アンジェイ・ムンクの遺作。ベルイマンの『ペルソナ』と同じく、「私はこんなに愛しているのに、何故あなたは応えてくれないの」という一方向的な愛が、アウシュヴィッツの看守の女性から囚人の女性へと向けられる。船上での再会、サディズムと表裏一体の報われぬ愛、それを語る無言の眼差しに泣く。不完全であることが逆説的な神秘性を生む、ある種の神話的傑作。
noriko

norikoの感想・評価

4.0
アンジェイ・ムンクは「不運」以来2作目。
悲しいかな、監督の事故死により本作は未完。
友人たちが一つの形にしましたが、やっぱり結末は気になる。

話としては「愛の嵐」の女女版。
ナチスの女刑務官と女囚の因縁?の話です。
ムンクは過去の回想シーン(ナチス時代)しか撮れていないので、それからしばらくして再会した二人の行く末は分からないんです。
情報が少なすぎて、想像することすら出来ない!

女刑務官に精神的に屈服させられた女囚。
死んだと思っていたが実は生きていた!
・・・で終わり。
ここからどう話を展開させる予定でいたのでしょう?

あのときの恨み話をするのか、話すだけでは飽き足らず強烈な復讐をするのか、「愛の嵐」よろしく倒錯的愛に溺れるのか。
あーーー!!
悔しい。
結末を知りたい。
この生殺し状態は精神衛生上良くない。
どなたかに未来予想図の解説をお願いしたい。

さて、ムンクの作品はこれしかレンタルされていないですが、アマゾンさんで販売されているので、コンスタントに購入したいと思います。
2000円前後で買えたような?
spacegomi

spacegomiの感想・評価

4.3
ナチスの収容所における看守と囚人という、極限的な非日常をともにした、対照的な立場の二人の女性を巡る愛憎を、偶然の再会を通じて元看守が回想するという体で語られる。作中でも南米への逃亡が示唆されるが、戦後ナチスの人間が当時を物語ることなど、そうした「偶然」がなくては成し得なかったことは想像に難くないし、再会した相手が本当にその囚人だったかどうかはさして重要ではない。というか十中八九他人だろう。そうした説話上の工夫までもが、なんとなく作品の神秘性を高める一因になっている気がしないでもない。もちろん未完であることが一番の要因だろうけど。
極限状況における同性愛的思慕も、相手にとってはエゴイスティックな服従欲としかとられない、視線を介した心理劇としても傑作。
pika

pikaの感想・評価

4.0
アンジェイ・ムンク監督の作品はこれしかレンタルでは見つけられず。
撮影中自動車事故で亡くなってしまった監督の作品を友人達が引き継ぎ、撮影済みのフィルムやスチール写真とナレーション説明で答えを提示しないまま終焉する未完の作品。
未完の説明と「答えは監督の中にあるが、問いかけだけでも価値がある」と語るナレーションから始まる。

撮影されたショットの完成度は秀逸で、それを補完するスチール写真とナレーションの絶妙なバランスが異質な雰囲気を醸し出すとても不思議な映画。
まさに問いかけで終わりを告げる作品ではあるが、アウシュビッツの看守と囚人の精神的な均衡と言うテーマ以外にも、映画とは何かというものをも考えさせられる未完であるからこその深みがある。

見れば見るほど、考えれば考えるほど深みが増すスルメ映画。
Wednesday

Wednesdayの感想・評価

3.8
未完成の作品は未完成のままなのに。

最初から最後までずっと画面を見てなくちゃいけなかった。

バイオリニスト?か何かが立ったままで弾き始めた姿が好きだった。

すごい、映画全体が残ってる。
未完作。

でも、見応えは抜群。

あるシチュエーションに置かれた女たちの姿。時系列が違う場面を挿入していく。

それぞれの行き先は船の上み見つかるのだろうか。

未完作とは思えない。

2011年8月2日鑑賞。
るう

るうの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ゔあ~~っ、ここで終わりかぁ~…。正直めっちゃおもしろかった。おもしろかった、って言い方良くないかな…。とにかくすごい手に汗握ったわ。どんな形であれ、なんとか完成した作品が観たかったなぁ…。「ショア」を観た後なので、アウシュヴィッツで撮影されたものだとすぐわかった。ガスマスク付けて、ガス缶を明けて中身を煙突みたいなとこから入れたり、まさに「ショア」で出てきた話を実際の映像で見せられてる感覚でぞっ~とした。リアル。看守と女囚の精神的攻防を描いているんだけど、女囚側のマルタは「どんなに辱められても心まではやるもんか!」って感じで、また看守側のリザも「あたしは良くしてやってるのに、く~っ、小癪な~!」って感じでしつこくネチネチし続ける。良く考えると会社と違ってやってることが大量虐殺なんで、なんか段々マルタの命がけな行動とリザのアホなプライド保守したいが為の行動の対比に、クラクラしてくる。あぁ、この後どんな展開を経て、全てが終わった後の豪華客船でのニアミスに、マルタは何を語るはずだったのかな…。
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