心のともしびの作品情報・感想・評価

「心のともしび」に投稿された感想・評価

たむ

たむの感想・評価

4.3
人工呼吸器が不足して人が亡くなる、というなんとも今にも通じてしまう辛い展開から始まるメロドラマです。
メロドラマというジャンルを伝説的な名作にまで引き上げた名匠ダグラス・サーク監督は本作でも、すれ違いから盲目、他人になりきっての援助と韓国ドラマが何時間にも及んで展開するドラマを108分に凝縮。
成瀬巳喜男監督の『乱れ雲』や『乱れる』並に愛してはいけない人に惹かれて行く強力な重力を描き出していきます。
サーク監督本人はこのような筋に抵抗を示したようですが、完成した作品の引力たるや凄まじいものがありますね。
ボンボン坊ちゃんがボートを飛ばしまくった挙句事故
医師の家から人工呼吸器を手配し一命を取り留めたものの、その医師は持病が悪化し助からず…
結婚半年の妻は嘆き、ボンボンを憎む。
自らの行いを悔い、彼女に懺悔するも意図せず事故に遭わせてしまい失明させる。
夫の命ならず妻の視力まで奪ったボンボンは贖罪の為に偽名を名乗り、彼女を陰ながら支える。
…ボンボン疫病神過ぎんか???
割と無理オブ無理なんだが心の拠り所が無かったらこうなってしまうものなの…?
周りの人間も愛してるなら仕方ないわねみたいな感じでめっちゃ受け入れててヒェッってなった。
金よりも大事な物、一度失えば取り戻せない物、抗えない愛と赦しがテーマなんかな…
坊ちゃんは悔い改めて真っ当な人間になったけどその後ケアしたから丸っと解決やでって言われてもなんかしっくりこない。
えす

えすの感想・評価

4.1
こんな空想的でベタベタな脚本なのにこのメロドラマとしての強度は一体何なのか。微塵も嫌味無く美麗だ。窓外の街並みや自然に一々目を惹かれるが、術前のオットー・クルーガーとの切り返しで使われる天井窓が特に忘れ難い。躊躇いを消し去るあの温かな笑顔にヤられた。
初ダグラスサーク。
富豪の坊ちゃんが自分のせいで人様の夫が亡くなり、許してもらうために女性に接近するが、そのせいで女性は失明してしまう。
一人の青年の愛と贖罪と再生の名作。

この女性がベリーショートで気品漂っていて大竹しのぶのような素敵で可愛らしい方だった。
贖罪のために名前と存在を偽って女性に近付く青年が、女性の柔らかい魅力に包まれて丸ごと惹かれていき、生まれ変わったかのごとく心から浄化していく。
都合良い展開ではあるが決して派手な演出はせず、自然と受け入れられるし、何より感動してしまう。

デートのシーンは至高。
見えない彼女に周りで起きてることを言葉だけで説明していく。目の前には夜の闇のなか燃えさかる炎。
光と闇のコントラストが美しすぎる。
視力検査中に光に照らされてフッと目が浮かび上がる演出もそう。良いショットが多々。
ダグラス・サークの作品は、メロドラマの形をした前衛芸術だと思う。私が一番好きな彼の作品は『天はすべて許し給う』だが、本柵もそれに劣らず美しい。ブレヒト的な異化効果による圧倒的色彩のセンスは本作でも健在
。ストーリーはベタベタすぎるほどのメロドラマだが、"50年代アメリカを涙で濡らした"という肩書きには過剰過ぎることもないだろう。傑作。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.0
「心のともしび」

冒頭、風光明媚で済勝な湖。モーターボート事故が起こる。金持ちの男と医者の男、事故による盲目の女性、人工呼吸器、持病の発作、自責の念、入院先、絶望の淵。今、アロウヘッドの湖畔を眺めながらメロドラマが展開する…本作はダグラス・サークが1954年に制作、監督した傑作で、既にクライテリオンからBDも発売されていたが、ようやく国内でも初BD化されボックスを購入して再鑑賞したが傑作の一言。1935年にも「愛と光」として映画化されていた様だが、こちらは未見である。アイリーン・ダンとロバート・テイラーが主演で、ロイド・C・ダグラスの小説の再映画化が本作で、ジェーン・ワイマン(本作で彼女はアカデミー賞主演女優賞ノミネートされている)とロック・ハドソンが主演した。やはりこの監督のテクにニカラーで描かれる恋愛ドラマは完璧だわ。この世界観が色の香水で照らし出されるのが半端ない。

色彩豊かな甘美な映像がとても見心地が良くかつ詩情と美の頂点ともいえるサーク流メロドラマが確立されており文句のつけどころがない。今思えばユニバーサルインターナショナル時代に監督した彼の傑作にして興行的にも成功した「悲しみは空の彼方に」とコロンビアピクチャーズから移籍後にロス・ハンターと初めて組んだ本作を含めて彼はこの間11本映画を監督するがうち6本はハンターのプロデュースであることに気づく。そういえばハンターに本作の提案をしたのは主演のワンマンだったらしい。それと私のALL TIME BESTに君臨し続ける最高傑作ムルナウ監督の「サンライズ」を撮影したアロウヘッド湖でロケーション撮影した美しい湖畔の映像には息を飲む。

さて、物語は大金持ちのボブは湖でモーターボートの事故を起こすが、近所のフィリップス医師の自宅から借りた人工呼吸器のおかげで九死に一生を得る。だが、人工呼吸器を貸し出したためにフィリップス医師は持病の発作で亡くなってしまう。 入院先の病院から抜け出したボブは偶然フィリップス医師の妻ヘレンと出会い、 フィリップス医師の死が自分のせいであることを知る。 自責の念にかられたボブは何とか和解したいとヘレンに迫るが、そのためにヘレンは事故に遭い、失明してしまう。やがて、彼女の失明は治らないことを告げられ絶望の淵に立たされてしまう…と簡単に説明するとこんな感じで、ハッピーエンドが好きではない方にとっては辛いのかもしれないが、この作品は結論から言うと神の巡り合わせなのか、奇跡的に失明が回復すると言うオチで大団円を迎える。そして「天が許し合うすべて」のクライマックスと同時に窓から見える風景が重なる。

そしてメロドラマに託すアメリカ社会に対する批判的な視線をとことんを貫き描いた本作はメロドラマ世界を誕生させ、定義を変えたと言える愛すべき1本だ。とにもかくにも豪華なテクニカラーが圧倒されてしまう。基本的には牧師が説教したり、すれ違いだったり奇跡的な救済から盲目の辛さ、偶然が織り成す通俗的なプロットが本作の典型的なドラマスタイルになっている。それと音楽が素晴らしく、情感溢れるフランク・スキナーの心優しい音色に慟哭する。そして色彩世界、監督のこだわり抜かれた空間的描写が余韻を残す。いゃ〜、出だしの湖モーターボートのシーンから魅了される。

始まってからすぐに悲劇のメロドラマが始まり、色彩豊かな自然と家々の描写、女性が運転するオープンカーなどを監督の美的構図が発揮されていて最高。特に湖の別荘のような敷地のショットの数々は息を飲む美しさ。しかも事故を起こしてしまい、病院に入院することになった場面での病室内までお洒落な色彩美で構想されていてびっくりする。それにやはり女性のファッションがパステルカラーを強調し、フレーム内に映り込むすべてのものととマッチし芸術性を光らせている。それとミニマムな最低限のものしかお置かない完璧主義者が随所に映像から見てとれる。そしてサークのラストはいつも絵画のように美しい窓からの外の風景が写し出される。
贖罪の話。遊び人のロック・ハドソンが歯車式に抱え込んでいく罪により、ジェーン・ワイマンに人生を捧げる。モーターボートの掴み、過酷なストーリーテリング、カラーライティング。何もかも完璧。
ブルーレイで再見。カラーの光り方がパナイ。サークの中でもとりわけ最も美しい色彩の一本だと思う。終盤冗長な気もするけど、中盤の盛り上がり方が異常。傑作!
miyagi

miyagiの感想・評価

3.7
サークが熟女好きだったのかどうかは知らんけど、何がなんでも都合良すぎな部分もあり他作品よりかは少し冷めてしまった。
やることなすこと裏目に出ても人生立ち直らせられるメンタルの強さは見習いたい。
亡き夫の意思を継ぐという目に見えない部分での継承が結実した瞬間はグッとくるものがある。
真の主人公あの絵描きやろ。
「天が許し給うすべて」へ繋がる助走とも取れる。
初サーク。メロドラマのお手本のようなメロドラマに感服。百貨店のショーウインドウのように煌びやかながらガラス越しに見てるような客観性がありこんなの撮るってよっぽどのニヒリストか熟練職人では。改心と赦しの物語で宗教的でもあり。
テクニカラーの鮮やかな色彩も含めて非常にアメリカ的な印象だけどサークがドイツ出身というのに驚く。
的確なタイミングに的確な音楽の挿入もまさに「メロドラマ」。落ち葉の使い方なども完璧。とにかく全ての舞台装置に隙がない。暴走ボートのイントロも◎
しかしこの手の映画でカメラに水しぶきがかかる演出は珍しい気が。
50年代の小物やファッションも素敵で、ヒロインが娘じゃなく義母というのも良い。
こんな完璧なメロドラマ撮れるダグラス・サークが異常で面白い
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