二つ目のカットで、後ろ姿を見せてる男が舞台へ向かうが、これは誰か?
このように菊之助じゃない人から各シークエンスがしばしば始まる。
また、最初の舞台が終わってからの最初のカット、親父を煽いでる人が…
こんなにも「言霊」が宿った映画は他にないと思う。
「覚悟はできております」と言ったときのお徳の存在感、「あなたと呼んでもいいのですね」と布団で力無く菊之助に話すあの瞬間。この映画はお徳の言葉とその力…
冷たい西瓜と鏡餅。バックヤードの空間設計。建具を通して映す横移動。人力車から降りる花柳章太郎、赤子をあやす森赫子、風鈴屋、女性二人連れ。仰角。辻に置いたカメラが首を振って森赫子を追うその横顔(少しピ…
>>続きを読む菊五郎の養子ながら
芝居の下手な菊之助が、
立場故に周りにちやほやされていることに
悶々としていたら、
敢えての苦言を呈してくれた
菊五郎実子の乳母役のお徳に思いを寄せたら
周囲から邪魔が入りまくっ…
僕はこの作品を、〖芸事/芸道〗という閉じられた世界を描いたものであると同時に、[〖何者にもなれないアーティスト(未満)の男〗と〖男のミューズであろうとする女〗の物語]としても受け止めた。
ふたりの…
歌舞伎界を舞台に、五代目尾上菊五郎の養子である二代目尾上菊之助と、その実妹の乳母お徳との身分違いの悲恋を描く。
長回しによるワンシーン・ワンショットが多用されるため、それぞれの場面への没入感が凄ま…
たいへんよかった。
歌舞伎座一座の跡取り息子に恋をした女中の破滅的な流浪の物語。『国宝』の参照点でありながら、あの映画が捨象した主人公に付き添う女性の自律性をちゃんと描いている(というかそちらが物語…
『国宝』の「100年に一度の壮大な芸道映画」という宣伝文句が、いかに何の意味も持たないものであるか、それを再認識させられてしまう映画が、この『残菊物語』である。
歌舞伎の上演シーンは、この最たる例に…
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