林芙美子原作の「めし」「稲妻」「妻」「晩菊」「浮雲」と、傑作を連発した成瀬巳喜男監督の締めに当たる本作は、東宝創立三十周年記念映画として宝塚映画で製作されたせいか、成瀬らしい鮮やかなカット割りは影を…
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ふみ子にへばりつく影が重い、のしかかる闇が重い。恋多きふみ子は男に事欠かず引く手あまた。お相手は顔はいいが甲斐性のない物書きばかり。近視のはず、顔は見えないはず…なのになぜか慕い助けてくれる安岡(加…
>>続きを読むやはり、成瀬巳喜男と高峰秀子の作品は良い。ダメ男・ダメ女に惹かれる主人公って大抵は途中でイラッとするものだが、これは全くしないのは、最初から最後まで主人公の自我がはっきりしていてブレないからだと思う…
>>続きを読む1962年東宝。森光子の舞台が後と思い込んでいたが、初演61年なんで菊田戯曲もそっちが先。本作監督と女優も舞台観たんだろうね。シナリオ上の差別化はラスト近く、舞台では放浪記の出版パーティにライバル日…
>>続きを読む全編に渡って、影が深くて、あまり光がない。夜毎輝いているはずのカフェでさえそうなのだ。どこか違うところへ続いているような気がしない。光へ誘う何かなんて、ここにはどこにもない。影の中で、光なく生きてい…
>>続きを読む高峰秀子は女優じゃない、大女優だ。いやはや、お見事すぎる。何というか、演技に幅があるのだ。余裕がある。余白がある。主人公ふみ子役って、人生そのものが浮き沈みが激しいので、かえってあまり前のめりでガツ…
>>続きを読む成瀬×林芙美子もの第六弾は、林の自伝的小説『放浪記』。言わずと知れた彼女の代表作で、前年から始まった舞台では森光子が、映画版では高峰秀子が彼女をブッサイクに演じている。
終盤で「女性芸術」掲載を巡…
『あらくれ』くらい男と出会っては別れを繰り返すけどあらくれの時とは違いずっと悲観的な主人公。普段モノローグが多い作品はあんまり好きじゃないけど、これにおいては彼女の卑屈さが声や文章から滲み出ていて良…
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