静的絵の中に或る、得もいわれぬ緊張感、霧の中の恐怖と冷たさ、底知れぬ世界。
美術センス、色彩感覚はさすが、アントニオーニの世界。ヴェネチアのホテルで、スクリャービンが流れたのには驚いた。素晴らしく美…
アントニオーニ愛の不毛3部作に加えたくなるような一面の不毛色(実は“欲望”しか観ていない)。謎な視点のオープニング、暗闇、そして濃霧の中の逃避行から漂う不確実性。主人公の男が映画監督という設定からま…
>>続きを読むこれは大傑作でしょう。本質の上辺をふらふら漂い続ける煮え切らなさはいつものこととして、霧のシーンの霊験、同じくらい終始、ひそひそとささやき続ける、無機物、無生物の雄弁さ。物がもっとも活き活き映るアン…
>>続きを読むアントニオーニ愛の不毛3部作に加えたくなるような一面の不毛色(実は“欲望”しか観ていない)。謎な視点のオープニング、暗闇、そして濃霧の中の逃避行から漂う不確実性。主人公の男が映画監督という設定からま…
>>続きを読むどんどん自分の記憶を映画にしているような。晩年に彼が残したかったものは。
愛どころか人間の不毛さに立ち入りながら、人は深い霧の中を進む。
ボケにも近い迷走する話がまさしく、この映画内と映画外が交わる…
マーヴィがパーティー会場に入る前に登った階段を捉えたショットで、壁の直線が別世界への入口の境界線のように見えた。
貴族のマーヴィ、小市民のイーダ。二人の女性といても、心はどこか違う場所にあるようだっ…
この作品の主人公である映画監督のニコラは周囲の状況や人間をひたすら見ることに徹している印象。謎の女マーヴィに連れられてやってきた夜会で特にその印象が強められる。ニコラ自身の当惑を我々視聴者にもシンク…
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