スリー・ビルボードの作品情報・感想・評価

スリー・ビルボード2017年製作の映画)

Three Billboards Outside Ebbing, Missouri

上映日:2018年02月01日

製作国:

上映時間:115分

ジャンル:

4.0

あらすじ

「スリー・ビルボード」に投稿された感想・評価

deenity

deenityの感想・評価

4.5
アカデミー賞候補に挙げられている本作。全く不思議な作品だった。見る前とのイメージは全然異なるし、見ながら抱いたイメージとも結局最後は異なるという。要はそれが本作の言いたいことでもあり、タイトルにもなっている象徴的なメタファーでもある。
とりあえずネタバレにならないように言えるのは、見終わった後の余韻の心地よさと「え?もう終わり?全然まだ見れるよ!てか見たいよ!」という感想くらいかな。
加えて音楽も素晴らしかった。時にカントリーミュージック的な、時に讃美歌的な美しいメロディーが作品全体のバランスを整えていたのは間違いないでしょう。

以降【ネタバレ】も含まれます。

きっかけは田舎町の外れにある三枚の大きな看板。そこに載せたメッセージ。
「レイプされて殺された」
「犯人はまだ逮捕されていない」
「どうして?ウィロビー署長」
載せたのは娘を殺されたミルドレッド。警察への強いメッセージ。復讐心と警察の怠慢に対する怒りを前面に表す。

警察は平気で差別を行なっているらしい。ウィロビーという署長が名指しされているなら、そいつを中心に悪が罷り通っているのだろう…と思えた。
でも実際どうだ。署長は町民から全幅の信頼を寄せられているではないか。勝手な印象付けが崩れ去る。

ミルドレッドの娘を思っての行動だと思っていた。でも実際どうだ。全然理想の母親とはかけ離れているようにも思える。むしろ看板は娘への罪滅ぼしというか自制心を保つためというか。勝手な印象付けが崩れ去る。

実際警察側にもクソ人間はいる。平気で差別を行い、卑怯な手を使う嫌な奴で、キレたらすぐ暴力に走る。そんなディクソン刑事。
でも実際どうだ。誰の聞く耳も持たないような奴かと思ってたけど、一通の手紙が心に響くような人間だったなんて。勝手な印象付けが崩れ去る。

本作は良い意味で観客を振り回す。先入観を持ってその人の人柄を形作ろうとすると崩されるのだ。三枚のビルボードはその象徴であって、三者三様の視点を丁寧に追っていくと全く異なった印象に変わっていく。表面的には赤い背景に黒文字で毒々しく自己の主張を伝えても、その背面には腐りかけた木造の脆さがそこにはあるというメタファー。
本作のテーマは赦し。それぞれがそれぞれの正義に従って正しい行いをしているようで、実際それは復讐に招くそれでしかなく、作中の「怒りは怒りを来す」という言葉はまさに相応しく、この世界の出来事にああされたからやり返すだの、こうされたから復讐だの、言い出したらきりがない。
現に客観的に見ている観客ですらディクソンのそれには「おい、それはやり過ぎだぞ」って不快になったはずだし、ミルドレッドのそれには「いくらなんでもやり過ぎだ」って懐疑的になったはずだ。

でも一見そのやり過ぎに思えた出来事に対して復讐が起こることを予見させておきながら、本作はまた観客を見事に裏切る。
ディクソンがボコボコにした看板会社のレッドは憎しみを抱きながらオレンジジュースを差し出し、ストローを向けてやる。ミルドレッドの火炎瓶が原因で大火傷を負ったディクソンは最後の告白を「あんた以外に誰がやる」と赦してやる。
本作の不思議な心地よさはここにある。「怒り」は「怒り」しか生み出さないのだ。誰もが怒りに任せて「復讐」をすると予想した。しかし、そこにまさかまさかの「赦し」を与えた。観客の期待は見事に裏切られた。

人の本質なんて表裏一体だ。表があれば裏がある。どれだけ強そうに見えても、隠しきれない弱さも実は秘めている。まさに町外れに建てられたビルボードのように。それを怒りで迎えては復讐の連鎖を尽きない。「相手がどうか」ではなく、「自分がどうか」だ。自分が相手の行為に対して「赦し」てあげられる自分でいるかどうか。これがこの世知辛い世の中を生き抜く術であるような気もする。
本作の答えはこれだと言うものを掴みきれていないように感じるが、何となく本作を見終わっても心地よく、オレンジジュースにグッと来て、ラストの二人の表情に優しい気持ちが湧いてきたら、それでいい気がする。
Gensan

Gensanの感想・評価

3.9
面白かった。主人公は、女クリントイーストウッドを思わせる。2転3転のストーリー展開はよかったが、ラストがもやもやだった。

このレビューはネタバレを含みます

久々に、いい映画を見た。今の自分にピッタリだ。
この映画を一言で言うなら、「人間の表層と本質は全く違う」という話だ。
表面的には、娘がレイプされ火をつけられて殺された母親が、9ヶ月経ってもダラダラ操作している警察に苛立ち、田舎の看板広告(3つのビルボード)に、いつになったら捕まえるの?的な言葉を出す、というもの。その効果は大きく、街にトラブルを巻き起こすが、結果犯人は不明のままで終わる。

そこがいい。
前述のように、勧善懲悪の話ではないし、事件そのものや背景がテーマではない。

キーマンは、明らかに署長である。
人望もあり、家族にも優しく、成果も出している警察署長が、その母親には責められ、またガンで周りに迷惑をかけることを危惧して自殺する。
そこで私は号泣したわけだが、その後残した手紙が。特にディクソンへの手紙が全てだった。
ディクソンは差別主義者でキレやすく、マザコンでサボりがちの悉く嫌な警察官として描かれるが、署長は手紙で、お前は素質がある、というのだ。
人に愛をもてば、おまえはきっと立派になる、と。

自分もまさに、こういう署長のようになりたいのだ、ということに気づく。本当に嫌なやつなんていなくて、何か抱えていたり、たださみしかったり、そういうものが悪い表層となって出てくるのであり、そこに人は目を向けない。

ディクソンに、犯人を見つけさせなかったのも良かった。人生、そううまくはいかない。そのおかげで、自分の母から旅立ち、主役の母と意気投合するが、実は殺すということに思いを込めているかといえば、「あんまり」なのだということに、2人だから気づく。
旅路でゆっくり決めればいい、これもいいセリフ。自分のことだってよくわからないけど、考えていこうよ、時間をかけて、と。

小さな「優しさ」が通い合い、やっと人間らしい会話が始まる、そういう、とてもリアルな、地に足のついた映画だった。
大盛り上がりはしないけど、引き込まれた。鑑賞のきっかけを作ってくれた友人に感謝。
のの

ののの感想・評価

3.5
重いテーマが静かに描かれている。いろいろな人物の心情が交差し、白か黒かで決まらない。
maki

makiの感想・評価

4.5
非常に重厚で見応えのある人間ドラマ。
脚本も先が読めない展開で、見入ってしまいました。

とにかく登場人物の描き方が素晴らしくて、一言では語れない、複雑な人間という生き物の多面的な部分、背景もしっかり描かれていて、様々な感情の機微を役者陣が熱演していて引き込まれました。
主役の娘を殺された母親だけでなく、その他登場人物の置かれている立場だったり抱える事情、心情を思うと、それぞれの決断や言動には考えさせられるものがありました。

終わり方には賛否両論あるようですが、これは事件の解決を目指すサスペンスではなく、不条理な現実に立ち向かう人間ドラマだと思うので、心が決まらないまま行動を起こすラストは、最後まで人間らしくて私は納得のいくものでした。

役者陣は皆素晴らしかったですが、私は激情型の警官を演じたサム・ロックウェルの芝居に胸を打たれました。
Keigo

Keigoの感想・評価

4.0
のんびり進むストーリーの中に深さが散りばめられてる感じ。
作品のストーリーもですが、そこには出演者それぞれの想いが描かれています。

皆さんが書かれてるようにサスペンスと言うよりは、ヒューマンドラマ的な映画でした。
トム

トムの感想・評価

3.9
思ってたよりすごい良かった…
なんていうか言葉に表せないこの感じ、久しぶりです。
この映画。

好きだった。。。

115分の映画の中で、自分の意見がコロコロ変わり過ぎてびっくりした( ・᷄ὢ・᷅ )

¤\( `⌂︎´ )/¤ムキーなんじゃぁコイツ!

(・ω・◎︎)?(◎︎・ω・)?あれっ

( ੭ ˙࿁˙ )੭ ᐝこの人 嫌いじゃない・・・むしろ好き 笑

先入観で人を判断しちゃいけないってのと、人の優しさは人を変えるって事を学びました🥤

私もストローさして🍊OJ誰かにあげたくなった(*˙꒳˙*)‧⁺✧︎*

ラストも私的にgoodでした✧︎*。


そして私今まで1度も注目したことなかったのですが、、、今作で一気にサム・ロックウェルのファンになりました😍なんだか若かりし頃のゲイリーオールドマンに似てる気が♡私だけ? タイプなハズだwa( ⸝⸝⸝⁼̴́◡︎⁼̴̀⸝⸝⸝)うふ♡

グリーンマイルも、チャーリーズエンジェルもマッチスティックメンもアイアンマン2も見てきたはずのに、意識してなかった<( ̄□︎ ̄;)>noーーーーOMG!

これは見返さなければ!!♡
Cat

Catの感想・評価

3.7
アメリカ南部の白人の町についての、強烈な社会風刺。

白人警察が黒人に暴力を奮うなんていう差別はよく取り上げられるが、この作品は日本でいう部落と呼ばれる閉鎖的な社会に生きる人たちを描いている。
低所得労働者である貧困層の白人。トランプ大統領当選によってその存在が表面化されてようやく私も意識するようになったが、アメリカ南部の白人に今までとは違うイメージを持つようになった。グリーン・ブックを見て日が浅いと余計、ね。都会に住む人間には理解できない根本的なものがある。

この映画は、娘を殺された母親が、犯人逮捕に怠惰な捜査をする地元警察への復習から始まるミステリー、かと思っていた。しかし、ストーリーが進むにつれて、ミステリー要素は気にならなくなり、繊細に描かれているヒューマンドラマに釘付けになる。
どの登場人物をとってもそのキャラクターというか、人間性による言動が取りこぼせない重要なメッセージを持っている。

それぞれの行動がもたらす結果が、空回りしたり、明るい兆しが見えたり。。苛立たしさや、空虚な展開もありつつ、なかなか考えさせられるテーマを持つ作品である。

メッセージのあるヒューマンドラマに興味のある人には楽しんでもらえるだろう。
(私の父のように、SFやアクションやジェットコースターミステリーのような映画が楽しい!という人にはつまらないかもしれない。)

こういう映画を観る度に思うのだが、原題に大事な要素が含まれているものを、日本語タイトルにする時に省くのは何故なのか。
とし

としの感想・評価

4.1
2019年3月22日 #スリー・ビルボード 鑑賞
脚本がとてもいい映画。大きな広告を出すことで人の考えや行動が少しずつ動いていく。自殺、暴力、放火と動いていく中でその周りの人も動いていく。ぶつかり合うことで何かが変わる。何も解決しないラストだけどそれでも動く二人。
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