オフィシャル・シークレットの作品情報・感想・評価 - 37ページ目

「オフィシャル・シークレット」に投稿された感想・評価

Yotta

Yottaの感想・評価

4.1

このレビューはネタバレを含みます

イラク戦争の違法性、米英政府の強引な戦争突入、そして報道のあり方を問う実話。

アメリカでは報道されなかったらしいが、日本でもほぼ報道されなかったとある。
(劇中でも米国メディアが相次ぎ記事執筆記者への取材をキャンセルするシーンが描かれている)

イラク戦争を進める米英両国の動きをリークした女性諜報員キャサリンの話

劇中、報道統制に関わると思われる英国中将の言葉

国民の名の下に集められた情報は公表されるべきだが、
そのタイミングが問題だ。
ただし、その場合、政府が困るからどうかは問題ではない。
国民に脅威となるかの問題だ。

と、報道を監察する部門の英国中将の言葉が印象的。
誘拐事件の時に報道統制するのは国民に危険が及ぶ場合か。

キャサリンの夫に連鎖していく夫婦のドラマ、起訴され法廷に及ぶサスペンスとしても面白い。

併せて観るとよい作品
●イラク戦争に至るアメリカ政府の動きは「バイス」
●ニクソンのベトナム戦争の情報操作を暴いた「ペンタゴンペーパー」
Tak

Takの感想・評価

4.1
対岸の火事としてぼんやり見ていたイラク戦争。
わずか十数年前の出来事。
事実を描いた作品ですが、全く退屈はしません。
テンポが良くハラハラドキドキ、110分をとても短くがじました。
ラストの展開も予備知識のない私にとっては驚きでした。
KUBO

KUBOの感想・評価

4.0
「私は国民のために働いているのだ。政権は変わる。政権が嘘をついて国民を騙すのを助けるために働いているのではない。」

GCHQ(英政府通信本部)で働くキャサリン・ガンは、米NSAからの「イラク侵攻に関する国連決議を有利にするために、国連非常任理事国の代表を盗聴せよ」という、アメリカがイギリスに違法な活動を要求するメールを見て大いなる疑問を抱く。

情報機関に所属している以上、秘密の秘匿は絶対であるが、放置すれば自国民を戦争に巻き込みかねない国際法上違法なメールの内容を黙っててよいのか?

キャサリン・ガンはこのメールを匿名でマスコミにリークし、英国の情報機関、マスコミ、裁判所を巻き込んで、一大事件が巻き起こる。

私はこの事件を本作を見るまで知らなかった。イギリスでは大事件として誰もが知ることのようだが、アメリカでもほとんど報道されておらず、主演のキーラ・ナイトレイもオファーが来るまで知らなかったらしい。

冒頭に挙げた台詞「私は国民のために働いているのだ。政権は変わる。政権が嘘をついて国民を騙すのを助けるために働いているのではない。」はキャサリンが取調官に言う台詞だが、これなんぞ、日本の官僚に聞かせてやりたい。誰もがこういった矜恃を持っていれば、日本でも公文書の改竄など起きなかったろうし、赤木さんも死ななかったはずだ。

作品は大きく分けて
第一幕「キャサリンがリークするまで」
第二幕「オブザーバー誌が記事にするまで」
第三幕「キャサリンの裁判」
の三幕に分かれる。

そしてメインキャストも、当事者のキャサリン(キーラ・ナイトレイ)、記者のマーティン(マット・スミス)、弁護士のベン(レイフ・ファインズ)の3人がそれぞれ一人称視点を分担し、それぞれの視点からの見せ場がある。

「新聞社はいつから政府の広報機関に成り下がった? さあ『記事』を書くぞ!」

それまで開戦支持であったオブザーバー誌は、政府からもらった情報をもとに記事を書く政府の広報誌に成り下がっていたが、この千載一遇のトクダネを記事にするかどうかで大揉めになる。

明らかな政府の不正を知ったとき、これをもみ消してジャーナリズムと呼べるのか? 

この第二幕も本当に日本の新聞記者たちに見せたい。「政府の広報誌」と言われて自分たちのことだと思う輩も数社いるだろう。他国の話だが、ジャーナリズムは権力を監視するチカラだということを思い出してほしい。日本の報道の自由度は現在66位。共産国を除けば先進国ではほぼ最下位だ。

そして裁判までを扱う第三幕。

キャサリンは明らかな「公務秘密法違反」を犯しているわけだが「無罪」を主張する。それは「国民の命を救うため、違法な戦争を止めるため」にした「正しい」行動だったと確信しているからだ。

法律的には明らかに有罪なキャサリンにどういう判決が下されるのか?

監督は『アイ・イン・ザ・スカイ』のギャヴィン・フッド。私の大好きなキーラ・ナイトレイが社会派のドラマでまた違った魅力を見せてくれます。

知られざる、イラク戦争開戦の裏で起こったイギリス政府を揺るがした大事件の映画化。この手の社会派作品がお好きな方にはオススメです。



*日本もこの当時、安保法制とか無理無理に決めさせられたのは、同様にアメリカからの要請に屈した(便乗した)せいだったんだろうな。

*SNS上に流布してる安倍総理と爆笑問題太田の対談映像で、
「イラク戦争を支持したのは正しかったのか?」という太田の問いかけに、
「あの時の決断は正しかった」と安倍。
「大量破壊兵器はなかった」と言う太田に、
「あったかもしれない」と返す安倍。
「『あったかもしれない』でたくさんのイラク人が死んだんですよ!」と返す太田。
いつの日か、アメリカに対しても「正しくないことは正しくない」と言える日本になってほしい。キャサリン・ガンは命がけでそれをやったんだから。
OASYS1985

OASYS1985の感想・評価

4.5
ヒッチコックばりのサスペンスのこのお話しがなんと実話というから驚き。まったくイギリスという国でもこうなのか。それにしても、映画的面白さにあふれながら、強烈なメッセージも訴えかけてくる大傑作
アメリカがイラクと戦争をするために国連の承認を得るよう秘密裏に非常任理事国に働きかける旨のメールを受け取った主人公がそれをマスコミにリークする話。リークするにはそれなりの覚悟や責任を伴うものだが、いつの時代にも正義感の強い人はいるもんだなという感想。そして、国家という組織は普段私たちが知らない間に思ったよりずっと悪どいことをしている。また、そのことを彼らは国民のために良かれと思ってやっている。実際にはそうとは限らないにも関わらず。
もな

もなの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

8月付けの映画券を買っていたから見に行かないとと思い鑑賞。予備知識はなし。

実話を元にしているということで、とても質のある作品に感じた。主人公の勇気ある告発はとても素晴らしいと思いつつ、自分なら「仕事」で片付けてしまうと考えた時嫌気がさした。見過ごせばたくさんの人が亡くなると考え、国や政府としては不利益となる行動を取り、さらに仲間が無駄な容疑をかけられることを嫌い自白するシーンなどはかっこよかった。

情報ひとつで国民が、国が、世界が動く。マスコミのとりあげ方や適切さ、スピードで物事がこうも左右されるのかと考えさせられた。

戦争の違法性を問われることを嫌い、裁判を戦わないとする検察の言い訳に対して「追及をせずに、さらには税金の心配もしてくれてありがとう笑」とこバカにするようなセリフはお気に入り

映画みたいな話だったけど実話なんだな
bonjuice

bonjuiceの感想・評価

3.3

このレビューはネタバレを含みます

イラク戦争を取り巻く陰謀ものの一つ。てかイラク戦争どんだけ陰謀あるねん。無茶苦茶やな。
その無茶苦茶さを知るためだけでもみておいた方がよいかも。

ただ話としてはやや盛り上がりに欠けたような。
主人公の女性にフォーカスしていたけど、ポスターみたいに、記者と弁護士三者の目線をもう少しそれぞれ描いて膨らませてもよかったんやないかな。

彼女の告発のモチベーションおもやや分かりにくかった。きまぐれ?憂さ晴らし?
あの頃の平均的な国民感情みたいなものをもう少しわかりやすく見せた方が気持ちに乗れたような気がする。もう20年近く前の話やしな。と思った。

戦争そのものの違法性を問う戦術はめちゃ面白いし根本的なところなので、上に書いたように三人の目線ですることと国民感情を丁寧に描くことで、その辺の感じがより分かりやすく、面白く描かれたんやないやろうか。

勉強にはなるし、考えることはいっぱいあるんやけど、そこからもう一歩出て欲しかったかな。

校正ミスは(職業柄)ぞっとした。
ラストの釣りのシーンは好きやった。
2003年のイラク戦争に関する米英の諜報機関を巡る陰謀を描いた、実話ベースのポリティカル・サスペンス。

主人公のキャサリン・ガンさんを被告とする裁判は、当時イギリスでセンセーショナルに報じられたらしいが、私が情弱だったからか、日本ではそんなに取り上げられてなかった気がする...な訳で、不勉強にも知りませんでした。

情報公開、司法制度、国家間の思惑、そして勿論戦争など、そのテーマは自ずとシリアスかつ普遍的なこともあり、おそらく事実を忠実に再現しているとおぼしく、トーンとしては硬派な仕上がり。

その分、劇映画としてのケレンは抑制気味ながら、次第に追い詰められる主人公を巡る顛末は、十分にスリリング。

加えてそれぞれ登場人物のバックボーンもミニマルながら手堅く描けていて、すんなりストーリーに没入できます。

さりげなくも鼓舞されるいいセリフも随所に散りばめられ、リアルな表現に根差した啓蒙性もバッチリ。

「義を見てせざるは勇なきなり」というメッセージを誠実に作品化した、地味ながら噛みごたえのある佳作です。
non

nonの感想・評価

3.5
国家って怖い!こんなことがあるんだ〜
救いは弁護士、ジャーナリストたちが動いてくれて…
良かったけど、大変な事だよね💦
それにしても、みんなカッコ良かった!(笑)
Joey

Joeyの感想・評価

4.0
巨人の原監督は優勝を目指しているし、松山英樹はメジャーを獲ろうと必死だし、池江璃花子は金メダルに向けてスタートしている。じゃあ、国家元首が目指すものって何なんだろう。それは国民の平和と自由を守ることなんだろうけど、それほど曖昧なものはない。一人を犠牲にして十人の命を守るのが政治哲学かもしれないが、犠牲になった人から見れば10分の1ではない。

ブッシュは多分、こう言うだろう。イラクには大量破壊兵器はなかったが、フセインの失脚で数百万人の命が救われた、って。確かにフセインに命を奪われたであろう人は沢山いると思う。その代わりに空爆によって沢山の命が犠牲になった。どっちが多いかって話し。いつまで、この救われない算数を繰り返せば良いのだろうか。一度も戦争を承認しなかった米国大統領っているのだろうか。

もはや、それに抵抗できるのは、このようなエンターテイメントの世界だけかもしれない。マーベルから出てきたヒーローではなく、現実の世界で彼女を救ったヒーローがいたのだから、この世界も捨てたもんじゃない。(なんか缶コーヒーのコマーシャルみたいな感じになりました)