都部さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生(2016年製作の映画)

3.7

ドラえもん映画の制覇も目前に迫ったが、それにより培われた観点を参照するに新劇のリメイク作品群の中でも大魔境に匹敵する完成度を誇るのが本作である。ではどこが良いかと問われるとそれは旧劇の不満点が全て解消>>続きを読む

老後の資金がありません!(2020年製作の映画)

1.7

第一に『老後の資金が足りない場合どうすればいいか』の答えはこの映画にはなく、月並みな家族賛歌と結局は気持ちの持ちようと言うべき物語の結末は問題を煙に巻くばかりで、ハナから答える気がないと考えるのが適切>>続きを読む

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

3.7

社会派/エンタメの兼ね合いが巧みな作品で、背徳心がスリルとして変換されるカンニングを巧みな編集と演出によりクライムムービーの一級品の題材へと昇華させながら、社会的欠陥の渦中に立たされる個人の揺らぎを過>>続きを読む

映画ドラえもん 新のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜(2011年製作の映画)

3.9

旧劇と共に秀作と語られる本作は、物語をより旧劇から多層的なものに変換する為に脚本上でたしかな位置エネルギーを持ったマスコットキャラ:ピッポの追加による、人間とロボットの友情劇に焦点を当てている。

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映画 ドラえもん のび太と緑の巨人伝(2008年製作の映画)

1.2

ドラえもん映画史上類を見ない怪作/奇作に位置するのが本作であり、ドラえもん映画のテンプレートが次々と否定されていく展開や前後関係が迷子な感情と物語の流れ、そして命題が曖昧模糊とした結末など、この映画を>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.8

"音"が聞こえなくなることの絶望を淡々とした足取りで克明に描く本作は、自分の生活と根付いた世界が理不尽にも剥奪されることへの恐怖/困惑/怒りと余さず向き合うような筆致が目立ち、そんな物語に対する真摯さ>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の恐竜2006(2006年製作の映画)

3.3

旧劇の公開より四半世紀の時を超えて再構成された物語は、全体の端々に至るまてその描写を現代的に改修しており、また特徴的なのは作画が原作寄りであるという点だろうか。ペットとの離別という万人に向けた分かりや>>続きを読む

映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ペコと5人の探検隊(2014年製作の映画)

3.7

旧劇から新劇への転換による作品全体の完成度の向上という点では、恐らく本作が最も素晴らしく、旧劇のみならず原作漫画を織り交ぜた換骨奪胎によって無二の完成度を誇る一作である。

バウワンコ王国の王子ペコと
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映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い(2007年製作の映画)

3.6

旧劇本編を再構築するにあたり適切な取捨選択が成されている良作で、のび太と美夜子のドラマに焦点を絞り、それを並列して語ることで日常/非日常の距離感/価値観が徐々に融和していき、その二つが重なる最後に物語>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険(2017年製作の映画)

3.5

『狂気の山脈にて』を想起させる物語ですが、その手の神話関係はあくまでも触りとして留めて、ドラえもん映画のフォーマットを適切に熟しながらも南極に存在した古代国家に纏わる謎とそれが持つ神秘性への接近を魅力>>続きを読む

映画ドラえもん のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜(2012年製作の映画)

1.0

ドラえもん映画の中では最低に位置する一作。
一貫性を欠いた登場人物の言動を小手調べのジャブとして、用意された舞台を有効に活用出来ているとは思えない展開や必要性のないゲストキャラクター達、極めつけはのび
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映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)(2015年製作の映画)

1.5

分かりやすく子供騙しの映画だ。
そう思うのは、本作が『ドラえもんでなんちゃってなヒーロー物をやる』以上の心意気を感じられない出来であるからで、勘違いが引き金となる似非英雄劇の始まりと終わりは題材の類型
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ドラえもん のび太のワンニャン時空伝(2004年製作の映画)

3.1

本作は突発的なドラ映画完走月間の中で、最も世間評価と自己評価の乖離を感じた一作である。祖母から授かったけん玉という小道具を有効に活用したのび太とイチの関係性の始まりと終わりはたしかにエモーショナルであ>>続きを読む

ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ)(1985年製作の映画)

3.4

文句なしの佳作だった『宇宙小戦争2021』と比較すると、細部の設定/展開にやはり気になるところは見られるが、独裁者に支配された国家との対立そしてそれが齎す戦争の重みという壮大なテーゼを、ミニマムな姿形>>続きを読む

ドラえもん のび太の魔界大冒険(1984年製作の映画)

3.3

魔法が存在する世界なる浪漫溢れる世界観の開示は程々に、差し迫る魔界の危機に対処するべく宇宙に繰り出して大いなる野望と対峙する本作。魔法世界が醸し出す恐怖の雰囲気を損なわずに、物語に幾重かのツイストを加>>続きを読む

ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記(1997年製作の映画)

3.2

本作は藤子・F・不二雄の遺作であり、物語の執筆途上で作者が逝去している為に、完成の為のスタッフによる四苦八苦の跡が見られる。

序盤は生命のねじ巻きにより生命を与えられた動物達によるねじ巻き都市を取り
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ドラえもん のび太の大魔境(1982年製作の映画)

3.4

ドラえもん映画の基本概念として存在する『映画版ジャイアン』──邪智暴虐な男:剛田武がスクリーンでは人情に厚い正義漢と化して作品全体の自分の印象を上塗りせんとする姑息な風潮のことである──の走りとも言え>>続きを読む

映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史(2009年製作の映画)

2.0

元ネタの『宇宙開拓史』の筋書きや物語の順序はおよそ同じであるが、リメイクにあたりロップルの姉貴分:モリーナの登場と彼女に纏わるドラマが追加されている。

しかしこれが元の物語の要素にさして帰依すること
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ドラえもん のび太の海底鬼岩城(1983年製作の映画)

2.9

海底での冒険劇という明朗な筋書きに反して、硬質なSFを食むような所感を抱かせる物語である。海底都市と海洋探検に伴う閉塞感と暗澹たる空気が漂うためにその実 開放的とは遠くて、それこそテキトー灯を通した─>>続きを読む

ドラえもん のび太と鉄人兵団(1986年製作の映画)

3.8

地球侵略を画策する惑星メカトピアの軍勢との対立を描く本作は、単純明快な筋書きだからこそ無類の面白さを発揮している。軍勢による鏡面世界の破壊活動やザンダクロスを巡る一挙一動を盛大なる動と、翻ってリルルと>>続きを読む

ドラえもん のび太の恐竜(1980年製作の映画)

3.0

ドラえもん長編映画の一作目──約43年前の作品であるが、現代でも十分に楽しめるだけの作品としての基本的なフォーマットが確立されており、展開の強弱も文句なしとその価値は不朽である。とはいえそれ以後の作品>>続きを読む

ドラえもん のび太と翼の勇者たち(2001年製作の映画)

2.3

作品内で扱われるイベントの多さが足を引っ張っている印象を受ける本作は、人間と鳥類の共生関係の示唆やPTSDにより飛べなくなったグースケの心理的成長やバートピアの伝説の正体とあちこちに縦軸を伸ばしている>>続きを読む

ドラえもん のび太の南海大冒険(1998年製作の映画)

2.8

藤子・F・不二雄没後の初めての映画であり、その作風に変更点などが多々見られる作品であるが、架空を切り出しとするテンポの良い導入や題材に縛られない柔軟な展開など作品としてのバラエティ性という点ではそれな>>続きを読む

アフリカン・カンフー・ナチス(2020年製作の映画)

2.3

冒頭より容赦なく叩き付けられる設定の奇天烈さに対して、発端過程結末と物語としての三幕構成が堅実に置かれているタイプの作品で、それなりに見れるC級映画。気の衒った設定はあくまでもパンチライン程度に留めて>>続きを読む

ドラえもん のび太の宇宙漂流記(1999年製作の映画)

3.4

新たなる故郷を求めて宇宙を漂流する惑星の民草とドラえもん一同の交流を皮切りとして、思想の差異に基づく内戦の勃発によるその仲裁を請け負うことになるという壮大なスケール感は見事だが、その大規模な物語に引っ>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の人魚大海戦(2010年製作の映画)

2.1

わさび版ドラえもん映画の中でもたびたび酷評される本作ではあるが、地上に架空の海を作り出すロマンスある状況設定と人魚族の姫君との思わぬ交流そしてそれが齎す非日常感など、作品を構成する要素を取り上げるだけ>>続きを読む

ドラえもん のび太と竜の騎士(1987年製作の映画)

3.2

ひみつ道具〇×占いにより作中で発生する『現代の地上には恐竜が実在していない──はずなのに、目の前で恐竜と思わしき存在が跋扈している』という矛盾した状況の謎を幕開けとして、スネ夫の失踪からシームレスな展>>続きを読む

ドラえもん のび太とブリキの迷宮(1993年製作の映画)

3.5

技術的特異点を迎えた思考能力を持つ機械の反乱の動向に巻き込まれる本作は、絶品のドラ虐が楽しめる映画であり、また当時の社会の機械による自動化への批判精神を孕んだ一作である。

序盤は正体不明のブリキン島
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ドラえもん のび太の宇宙開拓史(1981年製作の映画)

2.9

長編劇場用映画第二作ということもあり、映画版ドラえもんの基本的なフォーマットがまだ未成立であるからこそ時代と手探り感を覚える構成が新鮮な作品。では作品として物足りないかと言えばそんなこともなく、現地民>>続きを読む

映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)(2013年製作の映画)

4.2

滅茶苦茶面白かった。
フーダニット&ホワイダニットを兼ねた特殊条件ミステリの鮮やかな展開と多種多様なひみつ道具の作劇上の配置そしてドラえもんとのび太の関係性の妙を改めて定義する物語としてどの要素にも不
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ドラえもん のび太のパラレル西遊記(1988年製作の映画)

3.1

孫悟空の演劇という切り出しから、孫悟空を演じることで物語を終わらせることを強いられる羽目になる物語への接続は面白くて、序盤から中盤にかけての妖怪達の恐怖描写が打倒すべき敵としての説得力を高めているから>>続きを読む

アドレナリン・ドライブ(1999年製作の映画)

3.5

1999年の公開映画として緩慢なエモーショナルを随所で発揮する本作は、物語の進行速度の加速と停止を繰り返すことでオフビートな作風を形作ることに成功している。
大人達の遅れてやってきた青春映画として見栄
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ドラえもん のび太の創世日記(1995年製作の映画)

3.1

『なんか凄いことになってる……』と、恐れ慄く他ない他映画と明確に異なるアンコントラーブルな壮大さにより語られる物語は無二の味わいで、オチとして用意された一連の事態の収集の付け方も、新たな問題が発生する>>続きを読む

ドラえもん のび太と雲の王国(1992年製作の映画)

3.7

かなり面白かった。天国の代替として雲の王国を作る筋書きはアニメシリーズでも見られた浪漫奇譚のそれであるが、地上と同等あるいはそれ以上の科学力を所有する天上人/天上世界の登場により物語は加速度的に厚みの>>続きを読む

ドラえもん のび太とふしぎ風使い(2003年製作の映画)

3.4

短編『台風のフー子』を原案として、劇場映画用のシナリオと併せて換骨奪胎を執り行ったことで、その原案の妙と映画的なダイナミックな展開を両立させることに本作は成功している。

物語の分岐点として、台風状の
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ドラえもん のび太の日本誕生(1989年製作の映画)

2.6

2016年にリメイクも成された本作であるが、ことこの映画はリメイクが完全なるアップグレード版として存在しており、原点である映画には数多くの不足不平不満が積もる内容となっている。

冒頭 嫌気が差したの
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