けんかえれじいの作品情報・感想・評価・動画配信

「けんかえれじい」に投稿された感想・評価

凡人

凡人の感想・評価

3.8
昭和10年っていう時代設定がとてもよい。
どこか戦争が始まる前のどろどろとした空気が感じられる。

青年たちの喧嘩が牧歌的にさえ見える、ラストの戒厳令。
軍国主義の波が押し寄せて、そしていろんな要因が重なって、キロクは北一輝のもとへと走っていく。
この映画に出てくる青年たちを見ていると、戦争に傾倒していく若者がたくさんいたってのも頷ける。
みんなあまりにまっすぐで、素直で、まじめなんだもの。


喫茶店のシーンは、鈴木清順の味がすごくした。どこか異世界のような、妖艶さと孤独さを持ち合わせたファンタジックなシーン。

兵隊さん?たちが雪道を走ってるショット、むちゃかっこよかった。
あと、音楽がずっとシェルブールだった。
カット割りが面白すぎる。話は無茶苦茶なんだが、なんだこの画面から溢れる臨場感は。ワンシーンワンシーンが無駄に美しく、無駄に小気味よい。旧制中学の学生がくだらない戦争ごっこを繰り返す。岡山中学の南部麒六は“喧嘩キロク”として有名だった。先輩のスッポンはキロクにけんかの特訓をする。修行の一環としてキロクはOSMS(岡山セカンド・ミドル・スクールに入団。入団すぐに対決があり、そこで大暴れ。あっという間に副団長に上り詰める。ラスト、二二六事件に大きな喧嘩が始まりそうな予感を得て上京しようとするところでこの映画は終わるが、構想されていた続編では、キロクは愛国者となり、日中戦争へと参加してゆくストーリーだったらしい。それはそれでみてみたかったな。
netfilms

netfilmsの感想・評価

3.7
 昭和10年ごろの備前、岡山。岡山中学の放課後に、1人の少年が上級生たちに呼び出され、女といたかどで詰問されるが、彼を袋叩きに出来る者など1人もいなかった。岡山中学の名物男南部麒六(高橋英樹)は「喧嘩キロク」として有名だ。キロクに喧嘩のコツを教えるのが、先輩のスッポン(川津祐介)。そのスッポンのすすめでキロクは、OSMS団に入団した。OSMS団とは岡山中学五年生タクアン(片岡光雄)を団長とするガリガリの硬派集団だ。そのOSMS団と関中のカッパ団とが対決した。キロクの暴れっぷりは凄まじく、この喧嘩で副団長となった。だが、キロクには下宿先の娘道子(浅野順子)が大好きで、硬派の手前道子とは口もきけないで悩んでいた。反対に道子は一向に平気でキロクと口を聞き、野蛮人のケンカ・キロクには情操教育が必要とばかり、彼女の部屋にキロクを引き入れてピアノを練習させる始末だ。そのうえ、夜の散歩には必ずキロクを誘いだした。煩悩を断ち切ろうと学校では殊更暴れ廻り、配属将校と喧嘩したため、若松の喜多方中学校に追い出されてしまう。

 ケンカ無双で、たった1人で上級生たちを叩きのめす様子は『悪太郎』や『悪太郎伝 悪い星の下でも』でも見られたが今作も例外ではない。全能感漂う若者は自分からケンカを仕掛けず、ギリギリの状態の中で一発逆転する。だが女にはめっぽう弱く、道子の前ではろくに口も利けない。道子が得意なピアノの前で、猫のように縮こまる姿が何とも可笑しい。ピアノの鍵盤を手ではないあれで弾く姿には過剰なギャグが見え隠れする。ケンカに明け暮れることでエネルギーを回復するキロクだが、軍国主義の風潮が彼の運命を残酷にも変えて行く。シュールなギャグマンガのようなアクションを持続させながらも、主人公が北一輝と遭遇する場面は、清順流のシニカルなムードが漂う。「ここではないどこか」を秘かに夢見ながらも、実際に岡山から福島に転校させられた主人公は時代の波に幽閉される。すっかり大人になった高橋英樹や野呂圭介らの学生役も滑稽だし、ヒロイン役の浅野順子の演技も何とも頼りないが、みさ子(松尾嘉代)のバーだけが違う次元を生きて、別世界から北一輝の背中を見送る。バンカラたちの時代への反乱は、60年代の全共闘世代に熱狂的に支持された。
めちゃくちゃでバカらしい。でもカルト映画に数えられるような魅力も分かる。
ぴあの評価表で昔、傑作の類いに入っていたはず。再鑑賞だけど、う〜ん。面白くないこともないけど、こういう破茶滅茶な映画をとるなら、やっぱり高橋英樹さんより勝新のほうが似合っている。

喧嘩の修行を山の中でするときの雰囲気が、ルパン3世の『13代五右衛門登場』(タイトルはうろ覚え)の話の出だしにとても似ていた。

喧嘩が『男一匹ガキ大将』みたいな漫画チックで懐かしさを味わった。もちろん、古い映画だから当たり前なんだけど。

よくわからないのは最後。
『日本改造法案大綱』の著者で右翼の昭和維新の理論的指導者だった北一輝の存在が影響してくるんだが、なんで、あれだけのことでこうなるんだろう?これで、二二六にでも参加してしまうということなんだろうか?そんなに、北一輝の影響力ってすごかったんだろうか?正直、脈絡ない、とってつけた感があって、不自然だった。^^;
ストーリーはあまり面白くなく、演出も前半は抑え気味で鈴木清順監督らしさが感じられず(後半は感じられます)、それほどいい映画だとは思いませんでした。
正直、この時代のこと全くわからないので
時代錯誤でした。。

この頃の学生映画という感じでしょうか。
青春アクションコメディの傑作では。喧嘩がめっぽう強い高橋英樹は「彼女の足許にひざまづきたい」と日記に記す変態童貞だった。喧嘩とちんこが彼の全て。お前のリピドーどこへ向かう。こんなにピュアでキモくてカッコいい青春映画があったなんて。ウィーアーリトルゾンビーズの元ネタ?もあり。
tak

takの感想・評価

3.3
昭和10年頃の岡山と会津を舞台にした青春映画。僕らの世代にリアルタイムな鈴木清順監督の映画というと「ツィゴイネルワイゼン」や「カポネ大いに泣く」。それだけにこのストレートな喧嘩青春グラフィティは実に新鮮。

川津祐介扮するスッポンがえらいカッコいい。豆鉄砲食らわせて、ローラー搭載の下駄で学校を逃げるシーンは笑わせてもらいました。みち子さんへの思いをピアノにぶつける珍(チン?)場面、
「あゝ、かの白き手よ」
「お嫁さんになってーな」のような台詞
「気が向いたらここに接吻して送り返してください。」
てな手紙を送るところ、今みると実にかわいいよね。

そんな微笑ましい前半から一転、軍国主義が強くなってくる後半。急にシリアスになるのにエッ?と思って、乗り切れないままエンドマークを迎えた。あの後みち子さんどうなったのだろう?。そして2・26事件の首謀者として知られる北一輝を新たな喧嘩の師とするかの如く、主人公が東京へと旅立つラストに、その時代の空気感が込められている。
北一輝の写真見て二・二六事件の東京へ“喧嘩”をしに旅立っていくという凄まじいラストに震えた。さっきまでチンポでピアノ弾いたりしてたのに…
障子を破ってその向こうにある手を握ろうとするシーンに心奪われる。
>|