TAK44マグナム

グラバーズのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

グラバーズ(2011年製作の映画)
3.5
酔っ払いが田舎を救う!


アイルランドの島を舞台としたモンスターパニック映画。
明らかに「トレマーズ」の影響下にあるのではないかと推察。


ある日、宇宙から飛来した未知のモンスター。
何本もの触手にデカい口をもつ、タコようなイカのような、はたまたヒトデのような姿をした凶暴な吸血怪獣グラバー(つかむヤツ)だ!
グラバーは血と水が無ければ生けていられないが、もうひとつ重要な特徴があった。
それはアルコール成分にめっきり弱いこと!
つまり、酔っ払いを食べたら自分もヤバいので、飲酒さえしていれば少なくとも食べられることはないという事が判明する。
グラバーの存在に気づいた警官のホシュや酒飲みオヤジ、そして医者や生物学者たちは、島の住民たちを偽のパーティに参加させ、全員を酔っ払わせる計画をたてる。
しかし、メスのグラバーを殺されたオスグラバーとその赤ちゃんたちがパブを襲撃、ホシュは何とかしてグラバーを倒そうとするが・・・・・


コメディチックでもあるのですが、基本は至って真面目路線。
そんなところが「トレマーズ」っぽいですね。
嵐のせいで孤立した島で、怪物と戦うはめになるボンクラ警官というスタイルは、よくあると言えば巷に溢れているパターン。
そこにイギリスならではのユーモアや飲酒をフィーチャーして、エドガー・ライトが好みそうな雰囲気で仕上げております。
別段、優れているわけでもないのですが、キッチリと作られているので退屈はしないし、おさえるべきところはキチンとおさえてあって好感が持てる作品です。

休暇のかわりに二週間の島駐在でやってきた、ヒロインとなる女性警官が美人さんなので目の保養になりましたし、普段は仕事の鬼なのに酔うと可愛くなるのも定番ですが男にとってはまさしく理想のツンデレ女子。
主人公とのホンワカしたロマンスも、本筋の邪魔をしない程度で良かったです。

キャラも立っているし、生首ゴロンなどの残酷さも程よくブレンドされていて、「こういう怪獣映画が撮りたい」という作り手側の思いは結実しているように感じられました。

肝となるグラバーも、CGの出来がアサイラムとかのテレビ映画と比べて、格段に実在感があって溜飲が下がります。
よく動くし、デザインもキモい。
人間の思惑なんて知ったことかというような、超然としたキャラクター性も買いですね。
ヤツにあるのは生存本能のみ!
比較的早い段階から出し惜しみなく姿をさらしてくれますが、小型のメス、大型のオス、更にはキュートな赤ちゃんグラバーズがキュ〜キュ〜鳴いちゃって、思わずヌイグルミがあったら欲しくなりましたよ。


酔っ払ったはよいが、ヘロヘロなのでまともに戦えないなど、その攻防戦もアホっぽくて好き。
クライマックスは、この手のモンスター映画でありがちではあるものの、やはり○○でパワーを補って退治する展開は燃えます。
所謂「エイリアン2」スタイル!

総じて小品には違いありませんが、しっかりとツボをおさえた佳作だと思います。
70年代のモンスター映画や、それこそ「トレマーズ」が好きな方にオススメです。


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