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「野のなななのか」に投稿された感想・評価

tomひで

tomひでの感想・評価

4.0
大林宣彦監督の戦争三部作の二作目を鑑賞。
制作された順番を全く無視した鑑賞だったがこれで三部作全て観た。

他の二作同様、画の質感はとてもビデオ的で合成もチープ。しかし走馬灯のように次々と溢れ出る独特の映像、断片的だが熱量のある編集、その情報量はとても多く見応えがある。3時間近い上映時間だったが最後までとても引き付けられた。この映画は大林宣彦監督のまさに映像詩。

綾乃の死はとても考えさせられる。
綾乃の意志を受け止め、その綾乃を何十年と背負って生きたのは光男。その苦しさ…。覚悟を持って人と向き合う凄さ…。ふたりを追い込んだ戦争という背景、人を異常な思考に導く怖さも感じる。

亡くなる直前に精力的な戦争三部作を創られた大林宣彦監督、本当に凄い、尊敬です。
ちろる

ちろるの感想・評価

4.3
大林宣彦監督戦争三部作第二弾。
今度は北海道芦別が舞台のファンタジー。

死んだじいちゃん。
止まったままのおじいちゃんの腕時計の時刻。
布がかけられたままのキャンパス。
机に残された中原中也の詩集。

これは、星の降る町芦別で、もう一度動き始める愛の物語。
死んだおじいちゃんと残された者たちが言葉を重ねていく。

亡くなったその日、おじいちゃんを見送りにやってきたの14年前家を去った謎の女。
そしてやがて明らかになるおじいちゃんの樺太での秘密が少しずつ明らかにされていく。
死者による弔いの演奏とか、ベランダで語るおじいちゃんの青春パートは前衛的な舞台劇のような風合いもある、結構ユニークな作品。
あと、戦争やら樺太やら、戦後の日本についてとか、かなり情報量とかメッセージが多くて、なかなか心の持ち様は難しく、
台詞や登場人物の言動もカオスだったりするのだけど、それらも含めて全てが監督による人生賛歌、人間賛歌のストーリーだったんだと思う。

突如鈴木家に現れた信子の謎が、スピリチュアル的な観点で描かれていて、おじいちゃんの青春が七七日を迎える事によって本当の意味で2人の愛が完結するという展開、万人受けしないだろうけど私はとても好きだった。
こういうのはほんと、大林宣彦監督らしい。
(以下少しネタバレ?あり)

光男は友人の恋人である綾乃を結果的に殺したというのは衝撃的で、現代の私たちには到底理解し難い。
しかし、日本を離れ、死ぬ覚悟で向かった樺太の極限状態や、当時の貞操観念は平和ボケした私たちには推し量れず、たしかに沖縄や樺太はこの様な形で、命を絶った人も多かったのかもしれないと思うと、戦争の壮絶さというのを知る意味でもこの光男の残酷な過去も、しかと受け入れるべき描写なのだろうと思った。

ちなみに中原中也の山羊の歌という詩集によって奇しくも繋がった2人の16歳の少女。
スピリチュアル的なこの描写は2つの視点で考えてみたくなった。

綾乃の魂は、後悔と寂しさを抱いた光男を癒すために「たまたま事故で死んだ」16歳の信子の身体に乗り移ったのか?
それとも
想いの強さによってこの世をさまよう綾乃の魂が、信子に乗り移って「殺した」のか?
前者であればもちろん良いのだけど、後者ならば少し震えてしまう。
どちらにしても信子の存在(綾乃の魂)は晩年の光男を癒し、
そして光男が天に戻るその日まで待った上で信子の体(綾乃の魂)は光男と共に行くべきところに戻る。
この描写は長年少女を描いてきた大林宣彦監督自身にとっての妄想カタルシスなのだろうか?

とんでもなく美しい常盤貴子さんと、安達祐実さんが最後の最後まで神秘的で、その事がこの作品を観心地の良いものにしてくれている。

北海道自体、私にとって殆ど馴染みが少ない場所なのですが、
雪の綿帽子かぶった墓地。
絶え間なく広がる草原。
芦別の景色がここまで美しいとは思っても見なくて、幻想的な演奏と共に見せるエンディングは観てるだけでなぜか懐かしくて涙が出てくる作品でした。
京都国際映画祭のオンラインで鑑賞。
伊丹十三の『お葬式』、大林エディションって感じ。生きているのか?死んでいるのか?
なんとも不気味な不思議な愛すべき映画。
画面に映る“此岸と彼岸”の光景。それは家の中のように区切られた空間だけではなく、屋外の花畑のシーンにも出現している。“此岸と彼岸”の境界線の曖昧さは、あの世からの声が聴こえているかのような冒頭と、現在と過去を並列させる構成にも感じられる。

前作の『この空の花 長岡花火物語』での過剰なまでに饒舌なテロップは鳴りを潜め、今作では登場人物の名前を表示する役割に徹してくれているんだけれど、このテロップ出しが「ある一点」で効果的に使われているのに感心した。なるほど、このためのものだったのかと。

テロップ語りは『この空の花』と比べておとなしくなったのだが、ダイアローグの量とスピードが跳ね上がっていて、局所的に見ると分かる部分もしばらくすると「これはいま何の話をしているんだっけ」となるほどこちらを振り回してくる。映画全体の静謐なビジュアルとは正反対。
てぃだ

てぃだの感想・評価

4.4
追悼 大林宣彦


これが遺作と言われても
全く違和感がない


「人は誰かの代わりに生まれ
誰かの代わりに死ぬ」

「生きるということは
少しずつ死んでいくということ」

「人生は
コーヒーのように美味い」

「線を引くから戦争が起きるのか
戦争が起きるから線を引くのか」

もう監督の
言いたいことがいっぱい

問題作であり
監督の青春でもあり

「花筐」よりは
受け入れやすかったな僕は

それでも
昔の大林宣彦作品の方が
ずっとずっと
魅力的だけれども

山崎紘菜が
はじめていいなと思った
『この空の花 長岡花火物語』から続けて鑑賞。
正直『この空の花~』もまだ消化しきれていない状態で観てしまった為、途中で集中力が切れてしまいました…笑
時間を置いてまたリベンジします笑

オフィシャルな呼び方では無いにせよ三分作と呼ばれるだけあって『この空の花~』『花筐/HANAGATAMI』と繋がっている部分が多いです。

他の2作に比べると全体的に落ち着いておりめちゃくちゃ感は少ないと見せかけて、とにかく喋りまくる登場人物(死んでいる人物までめちゃくちゃ喋る)、安定のカオスなコラージュ、生と死・過去・現在が全て同時に存在する様な画面、とやっぱりめちゃくちゃ。

BGMが印象的。

どうでも良いですが『青春デンデケデケデケ』と並んで「タイトルこれで合ってたっけ…?」ってなる作品笑
大鳥涙

大鳥涙の感想・評価

3.5
DVD
後期の大林宣彦作品では比較的観易いが、相変わらず語りすぎで、音楽も治まらず、ダラダラと巧みに編集されたCF集を観ているかのようだった。
2時間でキチンと語れば、良い映画になると思うのだが... まあそれをしないのが、大林宣彦なんだろう。
死者と生者を繋ぐアイテムがいくつか出てくる。絵や中原中也は素晴らしい。一方、繰り返し現れる楽団が浮いてしまったのが残念。
デジタライズされた画調は特筆に値する美しさだった。
や

やの感想・評価

-
初見。大林作品に共通する猛烈な反戦映画でありながら、非常に個人的な愛の物語でもあった。えらくフェティッシュ。ちょっと寝た。

新文芸坐(大林監督作品3本立て)

このレビューはネタバレを含みます

この空の花に衝撃をうけて次作にあたる今作を鑑賞。

また夜中にテレビでやってたら齧りつきで観てしまうようなゾクゾクする映画。

この空の花と比べるとより洗練されてるイメージ。

前作が初期衝動のような作品でその次が洗練されてるってなんか新人監督みたいなんだけどこの時点でもうだいぶおじいちゃんなんだよな、大林宣彦。。

少女から大人までを演じるための安達祐実なのかと思ったら少女のまま死んでいって
さらに衝撃的な散り際で衝撃すぎた。

紘菜史上ベスト紘菜。

まさかTOHOシネマの幕間映像を超える紘菜に出会えるとは、、
座敷童

座敷童の感想・評価

4.5
大林宣彦監督作品でかなりクセの強い部分があるが、複雑に貼られた文学的引用や伏線を回収していくのは面白かった。
中原中也の詩を交えつつストーリーが進むのだが、個人的に『凄まじき黄昏』からの引用「ニコチンに、汚れたる歯を押匿す」の部分は印象的。『凄まじき黄昏』は中原中也が黄昏に豊薩戦争を感じ、その戦う一人一人の兵士にニコチンという日常性を見出したものであったが、今回は「タールの光も清くなる」夏の空に鈴木光男が太平洋戦争を見出し、そこで殺めた日常性を思い出していた。単なる戦争批判にとどまらない名作だと思われる。
若干語りすぎ感はあった、、、
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