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マッドマックス 怒りのデス・ロードのYYamadaのレビュー・感想・評価

4.2
【アクション映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 心理描写より外面的な動作を重視
 ○: 格闘・戦闘を解決の糸口とする

◆作品名:
マッドマックス 怒りのデス・ロード   
(2015)
◆アクション映画のジャンル
近未来 / 独裁者からの逃亡
◆類似作品
・マッドマックス2

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・資源が枯渇し、法も秩序も崩壊した世界。愛する者を奪われ、荒野をさまようマックスは、砂漠を支配する凶悪なイモータン・ジョーの軍団に捕らえられる。
・そこへジョー配下の女戦士フュリオサらが現れ、マックスはジョーへの反乱を計画する彼らと力をあわせ、自由への逃走を開始。決死の反撃が始まろうとしていた…。

〈見処〉
①クライマックスが120分!
 苦難の傑作アクション
・『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(原題:Mad Max: Fury Road マッド マックス: フューリー ロード)は、2015年に公開されたアクション映画。
・荒廃した近未来を舞台に妻子を殺された男マックスの復讐劇を描いた『マッドマックス』シリーズ第4作。1985年の『マッドマックス/サンダードーム』以来30年ぶりの新作となった本作。監督・脚本はジョージ・ミラーが続投も、マックス役はトム・ハーディが受け継いでいる。共演はシャーリーズ・セロンとニコラス・ホルト。
・CGなしのカーアクションの迫力はシリーズ随一はもちろん、映画史に残る大傑作となった。第88回アカデミー賞では作品賞、監督賞ほか10部門でノミネートを受け、編集、美術、衣装デザイン、音響編集、録音、メイクアップ&ヘアスタイリングの合計6部門で受賞を果たし、同年度では受賞数最多作品となる。

②苦難の続編製作
・前作『マッドマックス/サンダードーム』(1985)以来、シリーズ製作意欲を失していたジョージ・ミラー監督であるが、1998年に「暴力的略奪者が人間を巡り争う」という
第4作のアイデアを想起、20世紀フォックスと2001年の撮影開始に向けて企画化を開始も、同年9月11日の同時多発テロの影響により延期。
・それでもミラーは2001年から2003年にかけて、主役のマックスにメル・ギブソンを続投させ、その息子役にヒース・レジャーをキャスティングした『マッドマックス4』の製作準備を進め、今度はワーナー・ブラザースは約1億ドルの予算許可を得たが、撮影開始予定の2005年にイラク戦争による世界情勢不安にてまたしても製作延期を余儀なくされた。
・メル・ギブソンは次第に本作の興味を失い、2008年にはヒース・レジャーが他界。それでも続編製作を諦めないミラーは、2009年に新しいマックス役にトム・ハーディ、さらに共演にシャーリーズ・セロンと交渉し、2011年に撮影を目指すことを公表。ハーディーはメル・ギブソンの激励を受け、オファーを受けることになる。
・しかしながら、2011年に撮影予定のロケ地、オーストラリアのブロークンヒルの荒野が大雨の影響で緑化。花咲く草原では撮影出来ず、ロケ地をアフリカのナミビアに変更。2012年から撮影開始する運びとなったが、苦難の道のりは続く。

③苦難の本作撮影
・2012年7月から開始されたナミビア・ロケ。監督のジョージ・ミラーは『マッド・マックス2』の手法を踏襲し、効率よりも演出品質を優先させた「ストーリー順の撮影」を敢行、130日間に及んだ撮影期間はし烈を極めた。
・過酷な自然環境と体当たりのアクション撮影で俳優たちのストレスは凄まじく、撮影中にトム・ハーディーとシャーリーズ・セロンが衝突。犬猿の仲に陥ったのは有名な逸話。
・また、ハーディーは撮影中にミラー監督とも衝突しているが、作品完成後のカンヌ映画祭にて「撮影現場の砂漠にてミラー監督に説明を求めていたことを謝罪したい。彼がすごい監督だと知っていたが、映像を見るまではここまですごいとは知らなかった」とメディアを前に向に監督に謝罪。
・過酷なナミビア撮影は2012年12月に終了したが、2013年11月に3週間にわたるオーストラリアでの追加撮影が余儀なくされ、作品公開となったのは前作から30年、企画開始から17年、撮影開始から3年を経た、2015年5月15日に苦難の公開に到達できた。

④結び…本作の見処は?
シリーズ前作を観ずとも必ず観るべき、アクション映画の新たな金字塔
◎: CG使用は砂嵐などの遠景や、シャーリーズ・セロン扮するフュリオサ大隊長の左腕程度。特殊効果なしで撮影された砂嵐と爆音で荒野を大暴走するノンストップ・アクションは、長めの尺ながら、圧巻過ぎて退屈することはない。
◎: 巨大スピーカー搭載車で火炎放射ギターを爆音させる「コーマドーフ・ウォーリアー」や戦闘集団「ウォーボーイズ」、「血液袋」と「子産み女」の役割を担わされる奴隷たちなど、使い古された「ポスト・アポカリプス」ジャンルの境界線を越えた世界観。
○: 本作で描かれる「3日間の逃走劇」。その醍醐味は「逃げながら攻める」。こんな映画は、他作品では見当たらない。
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・カルト人気作として本シリーズを愛していた観客さえ、このような傑作になるとは誰も思っていなかったはず。ジョージ・ミラーのような超ベテラン監督でも、このようなぶっ飛んだ演出ができるのだ。
・シリーズ次作品は、アニャ・テイラー=ジョイ主演の本作スピンオフ『フュリオサ』。全米公開日は2024年5月までずれ込み、またもや遅延気味。
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