後々まで残る映画というものがある。
これもその一つになるだろうなと見終わった後確信した。
特別なことが起こるわけでもない。両親に虐待されているわけでもない。きょうだいがいないわけでもない。ただ、少し…
家にも学校にも居場所のない孤独な9歳の少女コット。夏休みを親戚夫婦の家で過ごすことになったコットが1人の人間として受容され、居場所を見つける過程を描く。
序盤のコットの孤独を描くパート。コットの表…
"言葉にしなくても"の超体現
タマネギで泣いて、クッキーの優しさで満たされて、ざわつく木々が生い茂る道を力強く駆け抜け、少女は一歩ずつ成長していく。
アイリンとショーンと過ごした夏はコットの新しい人…
これからも辛いことや悲しいことがたくさん待ち受けているだろうけど、彼女ならきっと大丈夫。
戻れなくても会えなくても、拠りどころが「在る」というだけで、頑張れると私は思う。
あったかい涙。
#コ…
《コット、はじまりの夏》
目に見えるものが全ての幼いコットに見えない光が差した夏休み。献身的に寄り添う叔母と、不器用な叔父と解きほぐされる関係。静かな情景はいつも断片的。そう"大事な事は目に見えない…
ローリングストーン誌の2023年映画ベストで6位に選出され激賞されていて気になっていた作品。
監督のコルム・バレードは今作が長編劇映画一作目だそうですが、驚くほど完成度の高い作品です。
しかし心温…
語られたものより語られなかったものの中に多くの重要な意味があるのだということを、希少なアイルランド語と、北国の優しい光と緑と共に伝えてくれる作品。
どこを切り取っても完全に美しく、人の心の機微が痛…
子どもの頃に思っていたこと、感じていた記憶がよみがえる。
声に出して話さなくても、たくさんのことを考えて、ちゃんと生きようと必死だったあの頃。
親や大人の顔色を伺って、先回りして考えていた。
静かな…
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