戦争のはらわたの作品情報・感想・評価 - 3ページ目

「戦争のはらわた」に投稿された感想・評価

第二次世界大戦終盤のドイツ国防軍の壮絶な敗走戦を、型破りな下士官が率いる歩兵小隊を中心に描いた戦争映画。ドイツ軍映画だがナチズムに触れない特異な作品。地方貴族の大尉の、成り上がり者のヒトラーなんか大嫌い!でも鉄十字勲章は絶対欲しいし!がこの酷い戦いの本質。悪路を踏み潰すソ連軍の戦車にアリの如く蹴散らされる歩兵。面白いが心底恐ろしい暴力の矛盾を迫力の戦場表現と錯綜する心理描写で力強く見せている。しかし一番衝撃だったのは、字幕が明朝体だったこと。
2018.7.7 DVD(字幕)
M川A氏

M川A氏の感想・評価

3.5
そこ?って思われるかもしれないけど、ドイツ人なのに英語喋ってるのが違和感。
思った以上に人間ドラマだった。
ペキンパーの戦争映画と言うだけにだいぶん期待して観たが、ハードルを下回ってしまった感はある。演出がはまっていなかった?ひょっとして戦争描写とスローモーションは合わないのではないか?もっとテンポが欲しかった。今回のはキレがなかった。
どうも画面の色が好みでなかった。ざらつきは悪くないのだけど。
しかし戦闘シーンの音響は良かった。
磔刑

磔刑の感想・評価

4.2
「滅びゆくは男の世界」

今作が溢れ返る戦争映画、特に擦り倒された第二次世界大戦を題材にしながら他作と一線を画すのはドイツ軍の視点で描いている事に起因するだろう。そして連合軍側のドラマでは決して描けぬ“敗北”、避けられぬ“死”を濃密なドラマとして描いている点が一層本作が他の戦争映画との差別化を図れている点だろう。

終始ソビエト軍の猛攻を受ける事によって想起させられる敗戦、敗北、死。それらが血飛沫、粉塵入り混じる戦火の中駆け回るシュタイナー(ジェームズ・コバーン)の獅子奮迅の活躍で描かれている。それと対比して描かれるのがプロイセン貴族であるシュトランスキー(マクシミリアン・シェル)の目線で描かれる貴族の没落だ。物語が進むにつれ、鉄十字勲章に象徴される貴族階級の愚かな幻想、現実逃避とも取れる愚策が凄惨で避けられぬ現実(死)に侵食される様子でドイツ軍の敗北を描いている。作中に漂う退廃的な雰囲気はヴィスコンティ監督作のような趣きがある。

戦場に生き、英雄と呼ばれるシュタイナーは戦争の化身そのものであり、同時に戦争とは決して切り離せない死を内在している。終盤にシュトランスキーがシュタイナーの帰還を阻止するのは自身の保身だけではなく、自らの元に死を持ち帰る事を拒否しての行動だ。しかし、結局はドイツ軍の敗戦と同じく死は避ける事はできず、シュトランスキーの元にシュタイナーは帰って来る事となる。
だが双方の喉元まで死が迫ったからこそ貴族階級のシュトランスキー、一兵卒のシュタイナーとの隔たりが無くなり、対等な立場になったとは皮肉な話である。

戦火で花開くペキンパー監督特有のバイオレンス描写に目を奪われがちだがその猛進するかの様な場面とは対照的な時停滞し、時が止まった様な場面が特徴的だ。特にシュタイナーの病院での幻想的な視覚効果は現代で言うところのPTSDであり、監督の先見性が垣間見える。病院で荒ぶるシュタイナーの奇行は単に戦場でのトラウマだけが原因ではなく、戦場を離れた平穏な暮らしへの不安、戦場では英雄と呼ばれた自身のアイデンティティの喪失故の行動だ。その倫理の箍が外れた世界でしか生きられない者の悲哀はスコセッシ監督の『タクシードライバー』のトラヴィスの姿を想起させる。

生まれ持っての貴族ゆえ不遜で尊大なシュトランスキー。戦場でしか生きられぬ無骨で昔気質なシュタイナー。どちらも前時代を象徴する人物であり、彼らの死を持って一つの時代の終焉を描いた現代でも色褪せない一作である。
戦争は人が起こしてしまうことがよくわかる作品です。人間にある負の根っこを描きます。
オールナイト上映。戦争のはらわた特集。
皮肉がすごい。残酷な映像に童謡とかをあえて合わせちゃう手法大好きなのでOPとED最高だった。若干演技がくさいなと思ってしまった。深夜に3本連続戦争映画はさすがに精神的に疲労した。
サム・ペキンパー監督お初!
冒頭で流れる生々しい映像にはじまり、戦争の醜さを強く訴えかける作品。
勲章への醜い執着心、私利私欲のための裏切り、兵士の女への欲望、戦争による精神的な苦痛等々。
戦争シーンばっかりだし、わかりづらいし、決して楽しい映画ではないけれどほかの映画にはない視点もあってよかった。
好きな小説に出てこなかったらきっとみてなかったから、感謝。
Oto

Otoの感想・評価

3.8
町山さんの生涯ベスト。
こんな結末を予想できる人いるの?(シュタイナーはずっと理解しがたい人間だったけど)

全体的にわからないことだらけ。
本当にわからないのは、シュトランスキーが嘘を認めなかったこと。全員嫌いだって主張もわかるけど、それじゃメイヤーの死が無意味になってしまう。そもそもそれならどうして戦場に戻ってきたの? 入院以降はどこか幻想っぽさもあったけど、名誉とか友情とかそういうものを超越してしまったのかも。終盤のフラッシュバックは友情に見えたけど。
差別観とか女性兵士や捕虜の扱いとかもよくわからなかったし、終盤は完全なクソ野郎だったシュトランスキーにもどこか人間味を感じたりした。

当時は斬新だったであろう戦闘シーンは分かりづらいし長いし正直退屈だった。アクション見えづらいし会話も難しい(2010年版DVD字幕が雑だったのでオススメしない)。原題が良いだけに邦題も酷い。
上に立って威張ってる人が実は何もできないってことは、実際に結構ありそう。

非常に辛い「負の遺産」的な映画だけど、ラストのロシアの少年兵とかキーゼルとか歌とか微かに希望もあると感じる。
opとedは対応していたけど、こんな映画のラストがコメディなのやばすぎ。。この映画にハマる町山少年もやばすぎ。
『戦争のはらわた』(原題は「鉄十字勲章」)って邦題、エグいですよね…。まず、『死霊のはらわた』みたいに腹わたがブシャーーッ、という映画ではありません。その点なら『プライベート・ライアン』や『ハクソー・リッジ』の方がよっぽどエグいです。

でも題名に「はらわた」とつくだけあって、この作品には「戦争の性根」、つまりは「人間の性根」がグロテスクに描かれています。

ドイツ軍人にとって最高の名誉である鉄十字勲章を手に入れたい大尉然り、英雄だけど戦争に取り憑かれた曹長、性欲を抑えられない兵隊など、人間の根底に渦巻くさまざまな欲望が作品の中に満ちています。

戦争。それは欲望を抑え切れない浅はかな大人たちが引き起こす愚の骨頂。

それをせせら笑うかのようにOPで流れる子どもたちの歌。「今やっていることは自己の欲求を抑えられない子どもと同じレベルのことなんだよ」と揶揄しているかのよう。

戦争映画の中でも「人間の性根」に焦点を当てた傑作の一つだと思います。
三國

三國の感想・評価

3.9
赤ん坊連れてきたのか?
戦争、外交の延長線上か、何ともまあこれだけ人を殺せたもので、ナチス云々と概念振り回してブルブル震えてたんじゃ内実がどんなものかわかったものじゃない。仲間、イデオロギーなんてお笑い草、ただ仲間がいるから、リアリティから言えばそれだけ、人種は方便に働く。美しさはゲルマン特有か。それにしてもペキンパーのフィルムには血が少ない、腕がもげたり、なのにグロテスク極まりない。具体的に過ぎる。生々しい。

あー、そうか、ファルスかこれは。
yume

yumeの感想・評価

4.1
久々に息をするのが難しくなるほどの映画だった
戦争って何だ?何を生んだ?
根本から考えさせる機会を与えてくれるセリフとシーン、あと編集がめちゃくちゃ上手い
最初ドイツ兵が英語を喋っているのに違和感を感じたけど、最早それが全く気にならなくなるくらいの傑作