昔のチャンバラ映画は和洋問わずスタントなしでよぉあんなに動くなぁと思う。
不勉強なのでダグラス・フェアバンクス作品までチェックできていないのだが、今まで観たチャンバラ映画で一番舌を巻いたのが、本作でのタイロン・パワーとベイジル・ラズボーンとの一騎討ちのシーンだった。
ルーベン・マムーリアン監督による1940年版の「快傑ゾロ」は、主演のゾロを美男スターのタイロン・パワーが、相手役をまだ初々しいリンダ・ダーネルが演じている。
そして敵役をベイジル・ラズボーン、主人公を助ける太った神父役をユージン・パレット……ってこちらは「ロビンフッドの冒険」とそのまんま同じ配役ちゅうのが面白い。
とにかくテンポがいい。
スペインの士官学校にいたタイロン・パワーのもとへ故郷ロサンゼルスで市長を務める父親から帰ってくるように手紙が届く。
早速帰ってきたパワーだったが、父は既に市長を解任されており、後釜についた市長は農民たちに重税をかすなど圧政を敷いていた。
正義感の強いパワーは、農民たちを救うために立ち上がる。
敵を油断させるため普段はなよなよした軟弱者を装い、夜な夜な覆面を被り悪人たちを懲らしめる快傑ゾロはまるでのちのスーパーマンのよう。
今回「ロビンフッドの冒険」のエロール・フリンと見比べて感じたのは、タイロン・パワーの演技力の高さ。(でなきゃ後年の「情婦」のあの被告役が演じきれなかったと思う)
それでいて本作であれだけ華麗な剣さばきができるのだから本当に凄い役者だと思う。
「ジキル博士とハイド氏」を撮ったマムーリアンだけあって映像もとても洒落ている。ラストの剣を捨てるシーンもなんたる鮮やかなこと!
■映画 DATA==========================
監督:ルーベン・マムーリアン
脚本:ジョン・テインター・フート/ギャレット・フォート/ベス・メレディス
音楽:アルフレッド・ニューマン/デヴィッド・バトルフ
撮影:アーサー・C・ミラー
公開:1940年11月8日(米)/1948年3月16日(日)