ペパーミント・キャンディーの作品情報・感想・評価 - 3ページ目

上映館(1館)

ペパーミント・キャンディー1999年製作の映画)

박하사탕/PEPPERMINT CANDY

製作国:

上映時間:130分

ジャンル:

4.0

「ペパーミント・キャンディー」に投稿された感想・評価

IPPO

IPPOの感想・評価

4.0
ようやく辿り着けた という実感。

根深い兵役問題、80年代の軍事制圧、学生運動、光州事件などなど、現代韓国を作り上げてきた様々な社会不安を映画の力を借りて世に問いかける。
その時代を生きてきた人は、大なり小なり時代に翻弄されたんだろう。加害者になったり被害者になったり。その傷が癒えぬままの人は、韓国社会でどこに向かえば良いのだろう。

主人公は、若き日のとある衝撃を起因とし、人との距離感を上手く取れず20代は苦悩しどこか夢想気味。30代はどこか満たされず孤独を抱えているようだ。
彼の心の旅とも言える、人生の振り返り。
日本と違い、戦争が終わってもまだなお社会が揺らぎ続け、貧しい時代を経験した韓国だからこそのヒューマンドラマ。

ソル・ギョング氏はそもそも塩顔というのもあって、中年から20代前半の若者まで一作の中で見事に演じ分け、演じきる。

楽しかった、面白かった と言う評価は極めて難しい。
Fuko

Fukoの感想・評価

5.0
絶対忘れない。墓場まで持っていきたい。自分がおばあちゃんになってもこの映画が観れる時代でいて欲しい。
よく、人生が終わる時 自分の一生が走馬灯の様に蘇ると聞く。
仕事も家族も失って絶望の淵に立たされた男の20年を観客も追体験すると同時に、韓国の激動の時代を振り返る。 「タクシー運転手」や「1987、ある闘いの真実」を鑑賞して、まだ記憶が新しいから、より心に刺さった。
電車や人が逆走しながら過去に戻って行く演出が良かった。 時代の波に翻弄された1人の男の人生。 「もし、あの時… 」
もっと上手く立ち回れていたら、もっと素直になれてたら、違った選択肢があったなら… たらればを言っても始まらない事は百も知りつつ、どうにもならない後悔の一つや二つ 誰にも有るもの。 人は最初から冴えない中年だった訳ではなくて、希望に溢れキラキラしていた時代もあったわけで。
純朴だった青年が、知らず知らずのうちに大きな負の重石を背負って、よろめきながら道から逸れていく。 いつしか、すっかり汚れてしまった。
人生って美しいのだろうか。
深くて重たくて、でもコレ、韓国だけの話ではないなと思った。
この映画すごすぎる。
進んでいくにつれて心締め付けてくるし、最後のヒロインの『その夢がいい夢ならいいですね』とか観客を殺しにかかってる。
最後の円環構造も美しすぎる。
リバイバル上映ラストに滑り込んで本当に良かった。
食らいました。

この監督作は凄い、と以前より聞いてはいたのですが
先日の「バーニング」を見逃してしまい、
初イ・チャンドンがこの作品となりましたが
素晴らしいし、とにかく遣る瀬無い気持ちになりました。

冒頭、人生に疲れ切ったようなクッタクタのスーツを着た男が
ヨロヨロと河原を歩いている違和感から、まず
只者ではないなこの映画はと背筋が伸びました。

河原で十数名の中年男女が酒を煽りながら
キャンプをしている所に、その男が辿り着き
酔った連中がその男がしばらくぶりに会う同級生と気付き
もてなそうとしますが、その男は叫び、乱れ、
その場から駆け出し河原沿いの架橋によじ登り、
走ってくる電車の前に立ちはだかり、そして、、、
(これは、ポスターにもあるシーンですね)

物語はその男の今までの人生を遡っていきます。
一体、その男に何があったのか。
何年かごとに遡るんですが、その区切りに
電車が走る視点で線路、トンネルを通過します。
まるで人生が辿った道を表すように。

その男はどうも事業を失敗し、家庭もおかしくなり
身を滅ぼしたようなのが分かります。
有り体に言って自業自得かと思えてしまうような
クソ野郎として描かれますが、過去へ遡る事で
色んな事情が見えてきます。
その河原にいた理由も分かってきます。

韓国の歴史(光州事件も!)や軍役。
1人の男の人生を垣間見る、重く切ない2時間強。
まるで、事切れる前に見る走馬灯のような
映画でした。

見事な筆致、骨太でかつ繊細な映画です。
他の作品も追おうと思ってます。
toddy12

toddy12の感想・評価

3.4
サロンシネマ1週間限定上映。評価が高いし予告を観て気になったので。

冒頭のシーンは良かったし遡る形式は珍しかった。けど、わめき散らしたり言い争うシーンが多くて耳に響いてうるさかったです。
映画館は前方の列で観ることが多く、これも2列目で観たけど、終始うるさくて不快でした。(他のどんなジャンルの映画もそんな風に感じた事はなかったのに)
主人公が静かに喋ってる時は、結構いい声してんなーと思ったけど。

あと、所々ウトウト寝てしまって気付けばかなり寝てしまったいた。
ラストのほうはちゃんと観ました。
デジタルリマスター版を劇場で鑑賞。

エグい。ドスンとくる作品。

電車が迫り来る線路に立ち「あの頃に帰りたい」と泣き叫ぶ男。
どうして男がこうなってしまったのかを時間を遡りながら追体験していく。

誰しも「どうしてこうなってしまったんだろう?」とか「自分の人生こんなはずじゃなかったのに」と思うことはあるはず。
自分で選んだわけではなくても、いろんな分岐点があって今の自分があるわけで。
どーしよーもないことはあるんだと折り合いをつけていくしかない。

後からじわじわとくるタイプの作品。
イ・チャンドン結構好きかも。
面白かったー。
心がこわれた男の人生。
心がこわれてしまう人生の悲哀。
せつない人生大賞。
帰りたい、戻りたい時代(とき)がある。
そう強く願った…。

劇場で。
4Kレストア・デジタルリマスター版

過去を振り返っても、その全ては記憶に残らない。
記憶に残ってる出来事は喜怒哀楽で数えるほど。それが今の自分をつくってるもの。

これから生きてく中で過去を振り返った時に記憶に残るような出来事はあとどれだけあるだろうか。

全世代を演じたソルギョング。
冒頭からコレ⁈
デジタルリマスター版公開を観だのだけれど、事前にストーリーなどを細かく調べずいた為、過去に遡っていく手法に戸惑いました。

元々違う状況から、徐々に精神が蝕まれていく、というようなシチュエーションならある意味わかりやすいと思うのです。
身体やこころに纏わり付いているいろんな衣を一枚ずつ剥ぎ取り、20年前まで遡った時の佇まいは印象的。

噛み締めるように観る作品でした。
ソルギョングがロバートの山本に見えたのは余談です。