修道士は沈黙するの作品情報・感想・評価 - 15ページ目

「修道士は沈黙する」に投稿された感想・評価

カツマ

カツマの感想・評価

4.3
イタリア映画祭2017にて鑑賞(3本目)
今映画祭の中の目玉の一つにして『ローマに消えた男』の監督ロベルト・アンドーと主演のトニ・セルヴィッロが再びタッグを組んだ作品。ミステリアスでありながら政治的メッセージを強烈に詰め込み、圧巻の構成力と展開力で一気にまとめ上げた力作!見事としか言いようがない。

バルト海の高級ホテルで催されたG8の財務相会議。そのリーダー格ダニエル・ロシェ専務理事は自身の誕生日を祝いを兼ねてポップスター、絵本作家、そして修道士を招く。この場違いな場に修道士が呼ばれた理由はロシェがある秘密を彼に打ち明ける(告解する)ためであった。だがロシェは告解の翌日死体となって発見される。自殺か、他殺か、そして告解の秘密とは。揺れるホテル内で繰り広げられる群像劇は次第に政治的な一本の芯を通して鑑賞者に語りかける。

トニ・セルヴィッロ演じる修道士はこの物語の良心として太い幹となって立つ。ラスト15分でのどんでん返しと神からの掲示とも取れるメッセージは、今この世の中で起こっている社会的問題を浮き彫りにしている。骨太でありながらサスペンス要素を加味し、更に群像劇としても上質なクオリティを達成するという離れ業は見事。絵本作家役のコニー・ニールセンやロシェ役のダニエル・オートゥイユなど脇を固める名優達の好演も光る。
いち麦

いち麦の感想・評価

5.0
イタリア映画祭2017にて鑑賞。
貧富格差を押し広げる仕組みを敷き続ける本丸に招き入れられた修道士の静かで強かな抵抗。社会への神の介入を問う宗教色強い問い掛けが窺える。信仰心がどの様に社会悪に立ち向かう術を持ち得るのか考えさせられた。

恐らくこの作品の結末は観る者の宗教観によってかなり違う色に映ると思う。自分は完全な無神論者だし、この作品でも揺るがない。極めて現実的な側面だけが強くアピールした。信仰心厚い者と聖職者…夫々が別々に、意図する、意図しないに拘らず、現実的な形で大きな社会問題に斬り込んでいった展開の妙には唸らされた。

このテーマにこのシチュエーションの組み合わせは飛んでもなく、巧みな脚本と映像威力も含めて、その仕上がりは離れ業的で、ただただ嘆息が出るほど。正しく映画祭向きな作品。

最近は、特に抑制の効いた演技が多いトニ・セルヴィッロならではの嵌まり役。
アメブロを更新しました。 『【イタリア映画祭】「告解」切り札を持っていたのは彼では無く神だったのかもしれない。』https://twitter.com/yukigame/status/858707720421072896
maya

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3.9
G8の財務省会が開催されるホテルが舞台ということもあり、各国の個性的な役者が揃って出演。説明的ではなく、丁度良い情報量(完全に理解できる、ではなく興味をそそられる部分がある事を含めて)でストーリーが進むため、鑑賞中も鑑賞後と色々考えたり調べてたりできて面白かった。
自分のお庭しか見えていない権力者達と、修道僧が「沈黙」を武器に対峙する。政治要素は強めだけど、それに徹底するのではなく良い意味で「映画的」な部分と相まって絶妙だったと思う。ロールケーキのスポンジとクリームみたいな。核心をふわっと覆うものがあって、一緒に味わうからこそ楽しめた。デモクラシーの限界…というか、足掻いても社会的弱者の気持ちは真逆の世界に生きる者には行き届かないこと。政治を考え主義主張を訴えているかのように見えて実は無関心であったり…その暗喩として出されているとも考えられる児童書のくだりとか。読み解けなくて理解できない部分もあったから細かいところは何が正解かはわからないけど、テーマを掴めれば色々考えが広がっていく作品だったので個人的には結構良かったと思う。そしてタイトルの『告解』は幾人かによるものだったんだなあ…
のん

のんの感想・評価

2.5

ミステリー仕立てでありつつ、根底には強い政治的ーいや世界の在りかたかーメッセージを感じる。
一介の修道士が、G8という世界の権力と静かに、本当に静かに渡り合うストーリー。
彼が持つのは「沈黙」と「清貧」。

ストーリーとは直接関係ないものの、カソリックの修道会の中でも稀少な修道会の修道士が主人公になっているらしく、そんなことからもハードル高かった。
現代の社会体制へ疑問を投げ掛けていて(民主主義の限界)、個人的には娯楽要素よりそちらが主に思えたな。

政治的なのは良いけど、それにしてはちょっと宗教的過ぎに思えてしまったのは、文化の違いが大きいのかな。



@有楽町朝日ホール
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