戦争のはらわたの作品情報・感想・評価 - 32ページ目

「戦争のはらわた」に投稿された感想・評価

magic227

magic227の感想・評価

4.7

このレビューはネタバレを含みます

「ダンディー少佐」「ビリー・ザ・キッド〜21歳の生涯〜」とサム・ペキンパー監督の映画に出演していた盟友ジェームズ・コバーンが「あんたの創る戦争映画が観てみたい」と言ったことから誕生したという本作、ペキンパーならではの乾いた描写で戦場の本質を抉り出したこの映画は、掛け値なしの傑作となりました。 ジェームズ・コバーンが演じるのは、戦争の虚しさを知りながらも戦いに生きる歴戦の勇士シュタイナー。栄誉のみを欲し、鉄十字勲章に固執する臆病で卑怯なシュトランスキー大尉には、「ニュールンベルグ裁判」の名優マキシミリアン・シェルが扮しています。すでにドイツの敗色が濃厚となった東部戦線を舞台に、同じドイツ軍でありながら決定的に対立していく二人の男、ついにシュトランスキーは悪魔のような策略に手を染めるのですが、その余りに衝撃的で、とてつもなく虚しい戦場の真実を、ペキンパーは大地を揺るがす圧倒的な火薬量と、スローモーションで捉えた叙情的なバイオレンスシーンを交えながら描いて行きます。もちろんペキンパーの映画ですから面白さは折り紙付き。一部にはハリウッド・スターが英語でドイツ兵を演じた事に疑問の声もあるようですが、ペキンパーにしてみれば、戦場の真実を描く上で、最も相応しい舞台を選んだだけの事、なぜならこの作品のテーマは程度の差こそあれ、あらゆる戦場に普遍的に存在するものだからです。 物語として抜群に面白く、胸が塞がるほどに虚しい、バイオレンスの巨匠・サム・ペキンパー唯一の戦争映画。子供たちが唄う童謡と、凄惨な戦場の鮮やかすぎるコントラストで始まり、ジェームズ・コバーン演じるシュタイナーの高笑いで幕を閉じるまでの133分は、現代に生きる僕らに本当の戦場とは何かを嫌という程教えてくれるかのようです。
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