戦争のはらわたの作品情報・感想・評価 - 32ページ目

「戦争のはらわた」に投稿された感想・評価

こ

この感想・評価

3.0
【カナザワ映画祭2016四十九本目】
レンタルやセル、通常の上映では英語版で喋りますが、今回の上映のためにドイツ語版を採用(ドイツ視点の第二次世界大戦物)、わざわざ今回のためだけに字幕も作成という、本当にカナザワ映画祭には頭が上がらないです。

上がらないんですが、そこまでガツンとは来なかったですかね。その前の2本が自分の中で強烈すぎたのかもしれないし、あまりサム・ペキンパーが合わないのかも。でも前2作同様戦争描写は容赦がなくて、「ああ戦争なんかするもんじゃないわ」と思わされました。
一回では飲み下せない、再見を要すると感じた(単に僕が戦争映画に明るくないのもあるけど)。長めのアクションシーンや、スタイナーはじめとする兵士たちの表情で語らせる演技、そして、ラストの何とも持っていきようのない感情にさせられる幕切れなどがあって、自分の中ではそれがまだうまくつながっていない感覚。
原題は『鉄十字勲章』ですが邦題『戦争のはらわた』は『死霊のはらわた』に並ぶ傑作邦題、付けた方を尊敬します。

ロボットアニメに例えるならコレはガンダムやマジンガーZではなく、正にゲッターロボ(石川賢・画の原作版)の世界。

残酷で情け容赦なく血みどろ臓物が撒き散らされるかの如き地獄絵図なのに、同時に血湧き肉躍るアクション・エンターテインメント巨編。

スタイナー軍曹(ジェームズ・コバーン)のカッコよさと無敵さと狂気。

敗色濃厚な独ソ戦末期を舞台に戦争の悲惨さやリアル、反戦や平和を訴えると言うより伝説的戦士スタイナーの地獄巡り・冥府魔道のバトルファンタジーとして見た方が少なくとも自分は楽しめました。

スタイナー軍曹がいくら撃っても撃っても熱でジャムる事は無いMG42機関銃やMP40自動小銃は、座頭市のいくら斬っても斬っても切れ味が落ちない仕込み刀と同じくマジカル武器(笑)ですし、無機質でキュルキュルいいながら何処までも何処までもやって来るT-34戦車の恐怖はターミネーターの暗黒の未来世界に於ける無人自動化兵器HK(ハンターキラー)を思わせます。

スタイナー軍曹は何の為に戦うのか?
国家や愛する者を守る為、も勿論あるでしょうがナチスとヒトラーを徹底的に軽蔑し組織や上官に対しても糞喰らえ!と言う態度、飽く迄も己の信念と生死を共にする部下の事を何より重んじる男。
厳格な軍人であると同時に孤高のアンチヒーロー。
またスタイナー軍曹と敵対する上官、プロイセン貴族(鉄十字勲章はナチス政権のはるか前、プロイセン王国時代からある名誉ある勲章だそうです)出身のシュトランスキー大尉のただひたすら勲章が欲しい俗物具合とその為なら仲間すら犠牲にする、名誉と権力欲に取り憑かれたクズぶりはスタイナー軍曹とは対極に位置し余りにも下衆過ぎて悪役として魅力すら感じます。

サム・ペキンパー一流の「破滅の美学」
勝利なき闘い、描かれるのは敵中突破の絶望的な敗走戦。
ソ連軍だけでなく味方の筈のドイツ軍迄敵に回して戦いの果ての仁王立ち、スタイナー軍曹の「ワ―ッハッハッハ!!」の高笑い。
まさに地獄の羅刹が如く。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督が『エル・トポ』撮影中、近くでペキンパー監督が『ワイルド・パンチ』を撮影していてセット等を借りたそうですが、「銃口から直接血が噴き出す様な西部劇を撮りたい」
と語っていて、ホドロフスキー監督はセットを借りただけでなく、その残酷アクションや救いようの無い世界観もペキンパー監督から影響を受けているのかも?と思ったので、もしホドロフスキー監督が戦争映画を撮ったら『戦争のはらわた』に匹敵する地獄絵図冥府魔道戦争映画が出来ていたかもと想像してしまいます。
t

tの感想・評価

3.7
戦争映画でペキンパーの編集と演出やったら物凄いだろうと思っていたが、やっぱり圧巻。飛び交う弾丸、突っ込む戦車、血しぶきとスローモーション。
軍隊内部から戦争の無惨さと機構にまつわる虚栄をも描いており、名作であることはよく分かるが、何となく乗れなかったのは戦争映画自体が苦手と言うことだろう。
一番好きだったのはジェームズ・コバーンが入院する辺りの虚実入り乱れる部分。名高いラストは音の演出含め永く記憶に残りそう。
さすがペキンパーというべきかとにかく凄まじいです。

ワイルドバンチからさらに強調されるスローモーションによるバイオレンスの数々、
オープニングの戦争フィルムを童謡に乗せて見せていく凶悪さ、
ソ連の軍服を奪うために押し入った女性兵隊小屋での生々しさ、
クライマックスの非情すぎる展開からのあのエンディング、
強烈な印象に残るものばかりでした。

またそれだけでなく人間ドラマも豊かで、ソ連の捕虜の少年や看護師との主人公のやり取り、部隊の兵士たちとの絆など残酷一辺倒で終わらせない深い作品ともなっています。

上官などを憎みつつ愛してる人を捨ててまで戦場に戻ってしまうジェームスコバーン(町山智浩さんが好きそう笑)はもちろんのこと、シュトラキンスキーに扮するマクシミリアンシェルがすごかったです。
軍の中の同性愛者を見つける時の気持ち悪さなど悪役としての印象も強いですが、彼自身も貴族階級に縛られているという面をチラリと見せる展開も秀逸でした。
あず

あずの感想・評価

5.0
二作連続で満点つけるのどうなのって思うけど観ちゃったものはしょうがない。

暴力の帝王・ペキンパーの描く東部戦線。
誇り高く戦うシュタイナー。
今まで観た戦争映画の中では確実にNo.1
歴史上の戦争を描いてはいるけどドイツ兵が普通に英語で会話しているなどリアルな史実を追求するのではなくまさに【戦争のはらわた】である狂気とかそこに生まれる人間関係を観た人に強烈に印象づける。

戦争映画にありがちなプロパガンダでも何でもなく、純粋なエンターテイメント性を感じる作品。

主人公のジェームズコバーンが嶋田久作にしか見えない。日本でリメイクするとしたら(絶対に無いけど)絶対嶋田久作。
感情を揺さぶられる傑作映画。何がそう至らしめるのか!
昨今の戦争映画に見られる演出で多いのが敵兵全員雑魚描写ではなくしっかり描かれていること。血の通った人間を描いていること。反骨精神むきだしで反戦映画であること。戦争の悲惨さ無意味さを描いていること。ペキンパー映画にハズレなし。
越後

越後の感想・評価

3.8
バイオレンス映画の巨匠、サム・ペキンパーによる独ソ戦を描いた戦争映画。

ペキンパーといえば個人的にはやはり「ゲッタウェイ」のようなバイオレンス映画や、西部劇のイメージが強いのでこの作品も監督していると知ったときは意外だと思いました。

この作品でもスローモーションに血しぶきとペキンパー節はがっつり。
ドイツ兵が英語というのはなんとも違和感がありますが、戦争の惨たらしさを存分に描いておりました。

特に見捨てられた主人公の舞台がソ連の猛攻を受けるシーンの絶望感はすごかった。
戦車相手に十数名でどうしろと…

残念だったのは字幕の翻訳がひどすぎてセリフの内容が全然頭に入ってこなかったこと。
なんどか止めて巻き戻してを繰り返してなんとか内容を理解する、という感じでした…

ラストシーンは末端の兵士と権力側の違いが滑稽に描かれ、強烈な印象を残してくれました。

古い作品ですが映像の迫力は満点。
字幕の問題さえなければもっと楽しめたと思います。
ysak

ysakの感想・評価

4.8
すごいんだろなとは思ってたけど、本当にすごかった。ラスト10分くらいは、野性と理性を同時に刺激されまくる感じ。邦題も素晴らしい。
リマスター版を劇場で観れるらしい
万歳(笑)
自由な環境で撮らせたら最強のペキンパー、最高傑作!
楽しみ(≧∀≦)