TV特撮ドラマ『電子戦隊デンジマン』の劇場版。
1980年はスター・ウォーズシリーズの影響で世界的SFブームと日本の第三次怪獣ブームが重なっており、とにかく映画、テレビ、マンガ、小説などSF作品だらけだ。映像はまだVFXなどなく、全てが手作りで見応えのある特撮とアクションを見せてくれた。
また当時の東映まんがまつりの特撮ヒーロー映画は30分以内が当たり前だったのに、本作は45分の中編なのも嬉しい(同年春公開の『仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王』、翌年春公開の『仮面ライダースーパー1』も45分。いかに当時、特撮作品に力を注がれていたかがわかる)。
ドラマは、デンジマンは約3000年前、ベーダー一族によりデンジ星を滅ぼされ、巨大宇宙帆船「グレートクイーン号」で脱出し、地球に移り住んだデンジ星人の子孫であることが明かされる。
ラストではデンジマンはデンジ姫とグレートクイーン号の姿を見る。それは幻なのか、現実なのか。そのファンタジーかつ大河ドラマ的な脚本に特撮ファンは東映の子供番組でもここまでドラマを広げてくれるのか! と感動を覚えたものだ。現在の特撮ドラマではありがちな設定だが、当時の東映特撮ヒーロー物は本当に子供向けだったのだ。まだ未見の特撮ヒーローファンはぜひ本作を観て古き良き時代の特撮ヒーロー映画を味わってほしい(途中でTV版のダイジェストが入るので初心者でもOKだ)。