菊とギロチンの作品情報・感想・評価 - 2ページ目

「菊とギロチン」に投稿された感想・評価

かがわ

かがわの感想・評価

4.3
東京国際映画祭にて
べらぼうに面白かった。監督の話も上映後に聞けて最高でした。今年見た中では頭2つ抜きん出てるよこれ。

全ての日本人と男を呪う。自分を呪いながら生きてこうと思います。

日本については今がきな臭いのではなく、もともとの発展途上国が民主主義を扱えなくなってきているのだと思います。これみると。
もの凄い映画。
時代背景もしっかりと知った上で
今一度観覧したい。
kbcシネマ の特別上映(前売り1700円!当日2000円!)で「菊とギロチン 」を鑑賞!
大杉栄 の虐殺に対する抗議のテロ行為を繰り返したアナーキスト集団‘‘ギロチン団’’と女相撲という二つの実在した題材を基にした朝鮮人と女性への差別を扱った政治色の強い映画だが、これは一種の青春映画として作られている。
この作品は多くの人に観て欲しい。とにかくテーマが素晴らしい。
が、一方で「残念な映画」とも感じてしまう。
残念と感じてしまう理由は二つあって、全体的に低めな演技レベルと、作り物感の拭えない演出や構成にある(これは後半に書こう)。
◆Story
時代は、大番狂わせを演じた日露戦争から20年近くが経過した関東大震災直後。
テロに失敗し追われる身となったギロチン社の中濱鐡(東出昌大 )と古田大次郎(寛一郎 )は、逃亡先で女相撲を見学する。
女相撲は当時からあまり知られておらず色物として扱われ、性的なアピールで客を集めようという向きもあったため、中濱と古田らもそのような期待を持っていた。しかし真面目に相撲に取り組む彼女たちに興味を抱き、彼女たちに取り入ろうとする。
中濱は朝鮮系の十勝川(韓英恵 )、古田は暴力夫から逃げてきた花菊(木竜麻生 )と互いに惹かれ合うようになるが、十勝川は朝鮮系であり、花菊も暴力夫から逃げてきた、いわゆる‘‘訳あり’’の身だった。
彼女たちの多くは、必ずしも望んで相撲をとっているのではなかったのだ。
四人は、風紀を取り締まる警察、そして自警団と対立しながらそれぞれの自由を求める。

タイトルの「菊」は女相撲の力士である花菊と、もう一つ天皇制を象徴している。
要するに、差別とは天皇を頂点としたヒエラルキー構造の産物という昔ながらの左翼の(おそらく一部の)人たちの思想だ。
鑑賞前に片耳に入ってきた情報から「関東大震災時の流言飛語に端を発する朝鮮人虐殺がテーマ」と解釈していたが、この解釈は少し間違っていた。
朝鮮人(併合当時ではあるが)差別を扱ってはいるが、関東大震災における朝鮮人虐殺は、作中に登場する虐殺の実行犯である自警団の団員たちの心の奥底にある、罪の意識を強く封じ込める為に必要だった「朝鮮人絶対悪」の呪文として扱われている。
自警団の面々は、番狂わせの勝利を収めながらも戦果の上がらなかった日露戦争の帰還兵であり、人々は彼らをよく思っていなかったようだ。
彼らは「汚い仕事」も任される。
この作品には、女性としての生き辛さ、朝鮮人としての生き辛さと同時に、自警団の生き辛さも描かれている。
しかし、この自警団についての描き方はかなり不満。(僕自身は)予想もしてなかった一番複雑な心情を持っていながら、それを自警団に直接語らせてしまっていて、彼らの視点から描かれたものが一切ない。
3時間超の映画なのに!?

他にも勿体ないところはいくつもある。
ギロチン社の面々はテロリスト集団であるにも関わらず青臭い。青臭いのは良い。若いんだからそうなんだろうし、それ自体にはある種のリアリティーがある。
が、ギロチン社の面々が、歴史のどの時代にいるどういう人々なのか、というのが歴史に疎い僕には伝わってこなかった。
ロシア革命の契機となった「血の日曜日事件」を描いた『ロシア革命前史の研究』(西島有厚著)という研究書を読むと、デモの主導者であるゲオルギーガポンの心情の変遷を非常にリアルに感じる事ができる。それはガポンが、歴史のある地点、当時の過酷な社会情勢の中にいる存在であることが手に取るように分かるからだ。
しかし、この映画にはそういう部分が足りないと感じた。

他にも「これ時代考証とかそういったものが甘いんじゃないか?」と感じてしまうシーンが少なくなかった。
これは悪い意味で現代風の「青春映画」な感じで、当時の人の発想が分かるシーンが少なく、このまま現代劇にできてしまいそう。時代性を感じさせる演出が足りないように感じる。
ここ最近カズオイシグロ『浮世の画家』を読んでるが、他にもこのノーベル賞作家の『日の名残り』など彼の作品には当時の世相など歴史的な意味合いなど掴む為に相当数の資料を読み込んでいると思う。
「菊とギロチン」も、テーマに沿った時代性みたいなものをもっと大事にして欲しかったな、と。
自警団の件以外にも、製作側が言いたいことを登場人物に直接言わせてしまうシーンが散見されるし、朝鮮系である十勝川関に「天皇陛下万歳!」と言わせてしまう展開もワザとらしいし、最後の女相撲の面々と警察との乱闘(これも公権力と被差別者との対立を表している)などはとってつけたようで、こういった演出や構成はどうしてもすんなり受け入れられなかった。
今村昌平 (深沢七郎 原作 )『楢山節考 』は棄老伝説を題材にした凄い作品だが、例えば「命はかけがえのないものだ!」みたいなことは言わない。
人種差別や性差別というテーマ自体はすごく興味があるし、これほど重い題材をある種の青春映画として成立させる力技もすごい。
が、映画としては「勿体無い」という感じを随所で受けてしまった。
とはいえ、こういった題材を扱っただけで大拍手。
skm818

skm818の感想・評価

3.9
前の方で見ていたので首が疲れた。3時間15分はダテじゃない。しかも全編緩んだところがまったくなくて、見どころの連続。もともとこの時代や主義者の話に興味があるということもあって、色々と盛り上がった。無政府主義者たちの真面目なんだかいい加減なんだかわからない、官憲に目をつけられてるのに好き勝手やってる様子、最初はエロが目的だったのに女相撲の真剣勝負に引き込まれ、気がつくと宣伝を手伝っちゃったり恋をしたり、自警団にリンチされてる朝鮮人の力士をたすけに行ったり、でもその自警団もシベリア出兵で苦労したのに報われない、元は小作の気のいい人たちなんだよね。立場で争ったとしても隣にいる人は敵ではないという中濱のセリフよかった。そんでもって女相撲。女が土俵に上がったら云々が伝統なんて嘘八百じゃねえか。いろんな事情で集まってきた女たちを受け入れて、諍いはあっても皆仲間で、っていうのいい。花菊も十勝川も親方もカッコいい。親方の真剣さが素晴らしいわ。サンジは色々残念だったけど。惚れてるからって一緒に行きたいとは限らねえんだよな。そして古田大次郎、カッコよかった…
Mi

Miの感想・評価

3.4
とにかく圧倒的な熱量

結局のところ登場人物全員がなにも成し遂げることなく終わるので、観終わったあとの不完全燃焼感と疲労感がケタ違い

あの時代、あれくらいみんながみんな狂ったように何かにしがみついていないと苦しくて辛くてとても生きられなかったんだって必死に訴えるような映画だった
taku

takuの感想・評価

3.8
瀬々敬久監督の自主映画が地元で公開。関東大震災後の大正時代、女相撲団体と実際にあったアナーキー集団「ギロチン社」が出会い、共に世の中の理不尽さに立ち向かう青春ドラマ。3時間9分という長時間でありながら、過激で野心的なドラマと役者たちの体当たりな熱演に圧倒されて最初から最後まで見入ってしまいました。

当時の政治や思想とか難しくて理解できないけど、世の中を変えたい男たち、強くなって社会に認められたい女たちの心情は現代に繋がる所があり、深く考えさせられます。

アナーキー集団のリーダーを演じた東出昌大さんの今までとは違う狂気と熱さに満ちた演技が凄まじく、良い俳優へ成長したと実感しました。新人女優の木竜麻生さんも純粋で堂々とした演技が良かったです。
なんかはちゃめちゃに元気な映画だった。
3時間あっという間。は言い過ぎだけど全然長く感じらんなかったし、なんならもっとあいつらを延々見てたい気持ちになるし、女相撲に弟子入りしたくなる。

なんかむだに元気になったせいで夜中に映画館から歩いて帰った。

海のシーン、こないだ見た万引き家族と違うけど、同じくらいさいこうだった。

あとから見たらなにも変わんなかったって思う人がいるかも知らんけど、あんなに元気いっぱいわちゃわちゃしてた人らのこと笑えんし、ばかだなと思うし、うらやましいなと思うし、めちゃくちゃ愛おしく思う。
菊とギロチンの登場人物は、革命家たちも、鶴竜そっくりの花菊も、十勝川も、何をも成し遂げない。少しの変化を見せはするが、精錬された映画として物語としては完全に成り立っていない。観客に寄り添う気持ちがない。だから面白くない。論理的に不完全なところがありすぎる。
でも、たぶんそれはそもそも映画的に描いていないがための崩壊だと思う。客観的な論理はあえて排除されている。全ては他人の出来事であり、現実に我々が他人を見るのと同じ目で彼らを見ている。
(たぶん)人は共同体や制度や思想の中で暮らし、そこで何かを成し遂げたり、行き場を失って絶望にかられたりして生きる。しかしその出来事の内の細かい一つ一つは、その個人にしか還元されず進行せず理解できないもので、結局は一人一人の人生に収斂していく。背負った子どもは知らぬ間にいなくなり、爆弾は田に肥やし、女相撲は取り締まられ、革命は起こらず、男と女は離れ行く。この虚しさは、自己の感知した世界と、他者に落ち行った結末の現実、「自分」という超えられない現実の結末の一つだ。その先は他者本人にしか分からない。
歴史、日本の歴史、戦争、革命思想、差別、フェミニズム。他人を思う気持ちで、何となく、崩壊しそうな思考で、作品の主題の意味を味わうことができるかもしれない。
でも、長い。知らぬ他人の人生のようなこの長さについて来られる忍耐力のある観客は恐らく少なくとも現代の日本にはあまりいないと思うし、ぼくも実際耐えることはできなかった。それでも他人が生きていることは事実だし、歴史も現実の下に聳えている。他人を理解することはできないが、無関係だと切り捨ててはならない。
takandro

takandroの感想・評価

3.8
薄い。無駄なパートが多い。随分と演劇みたいな口調で鬱陶しかった。ヘヴンズみたいに章分けした方が良かったんじゃないか?
7

7の感想・評価

3.5
釜山国際映画祭にて。

長い。あえてこの長さなのか、一つ一つのシーンが冗長に感じる。

関東大震災後の日本を舞台に、実際にあった女相撲がメイン。全然知らなかった。
朝鮮のことも取り上げてるので、韓国で見るのはちょっと気まずさがあった。

散々「強くなりたい」って言い続けるのに、男の暴力や大きな権力には屈してしまい、何も変えられない様は見ていて息がつまる。難しいなぁ。