継

無伴奏「シャコンヌ」の継のレビュー・感想・評価

無伴奏「シャコンヌ」(1994年製作の映画)
3.9
演奏活動の第一線を退いたバイオリニストのアーマンド。
メトロ(=地下鉄)の駅構内で寝泊まりを始めた彼は, そこを拠点に新たな演奏活動を始めるのだが…。

'94年,フランス製.
高い天井に反響して駅構内に響き渡る音色。
行き交う人々は足を止めてアーマンドの演奏に耳を傾ける。
チェロやバンジョー等, 時に他のミュージシャンと賑やかなセッションが始まったかと思うと,
突然の停電では, 闇に包まれた構内を穏やかな音色で満たして人々の不安を和らげるアーマンド。。
🎻

DVD化されてない作品📼。
自分が観たのはYou Tube動画のフランス語版でした。
ストーリー自体は総じてシンプルなので大筋は理解出来ましたが, 付いてたポルトガル語字幕を解せる訳もなく😹,
一線を退いた理由や愛器が壊された理由とかは分からずじまい。
あとで他の方のレビューを読ませてもらい, ナルホドそーゆー事かと😹😹。


🎻
タイトルの邦題はバッハ作の楽曲名。
終電が終わりホームレスの人々の寝床と化した駅構内で,
薄暗い空間の全てを戒め, 赦さんとするかの様に響き渡るその「シャコンヌ」の旋律が圧巻です。
憂いを帯びた旋律はバッハが最初の妻を亡くした後に書かれたからとも言われますが, 打ちひしがれて泣いているようでありながら同時に現実から逃げては駄目だと言わんばかりの厳しさが音選びからも感じられて, 螺旋を描くように上昇/下降する旋律がその葛藤を表すようでもありました。

本作でバイオリンを演奏するギドン・クレーメルは, ペルトの「タブラ・ラサ」やピアソラの楽曲を演奏したアルバムをリリースしたりとその活動は多岐に渡りますが, 本作のシャコンヌには前者の精神性にちょっとだけ近しいものを感じます。
優れた音楽が有する力, それを感じられる心を失わずにいたいと改めて思わせてくれる映画でした(^^)。
継