”君は本を読むフレンズなんだね”
人類は最終戦争を終え、汚染された大地と荒廃した人の心が世界を支配していた。明確に世界戦争の絵は提示されていないが、冒頭の猫を狩るシーン、昼間は皆がサングラスをかけ、人を捕まえることの意味が、少しずつ言葉の端々に発されてる。冒頭の狩りのシーンのスタイリッシュで絶望的な世界観、主演のデンゼル・ワシントンのブツブツと独り言で自身を確認し、音楽プレイヤーで心を潤わすシーンは圧巻で印象深い。
序盤で荒廃した世界のならず者と主人公の対比をアクションにて描くシーンにて、逆光をスタイリッシュに影絵のようなアクション、時代劇の障子の向こうの活劇感を醸し出す。ここは格好良いとちょっと笑えるの5:5の比率になっていて正直複雑な気持ちだった。
デンゼル・ワシントン×ゲイリー・オールドマンという2大スターの共演としう世界の終わりにしては豪華すぎる布陣に対して、静かに語るデンゼルと、ある本の収集にて狂気を滾らずオールドマンの動の感情が見られたのは良かった。そこが良かった感。
冒頭で世界の終わりをこれでもか!と絶望の淵に叩き落としておきながら、わりと格闘シーンになるとカメラワークが逆にハッスルしてしまい、周囲を旋回しながらアクションを映すカット、銃撃戦で味方→敵→味方と長回しでスタイリッシュだろ?と鼻につくやり取りが、少々笑ってしまい世界にそぐわない。むしろ世界の終わりにしては元気すぎな印象で、バランスが悪い。
落としどころは好き。主人公の荒廃して死に行く世界の30年の積み上げ、そしてヒロインとの短いながらの関係とそれへの繋ぎ、欲望にかられた者に手の届かないモノであるというある種”聖なる”の非現実的でなく現実的な決着のつけ方は感心した。
正直冒頭と結末だけで良いが、積み重ねが重要なキーになるので、中盤の娯楽へふったアクションシーンは別に悪くなかったのではないかと思いなおす。