座頭市血笑旅の作品情報・感想・評価

座頭市血笑旅1964年製作の映画)

製作国:

上映時間:87分

ジャンル:

3.8

「座頭市血笑旅」に投稿された感想・評価

勝新太郎 お馴染み「座頭市」シリーズの8作目 1964年作品

渡世人から命を狙われる旅する座頭市
自分の乗ったカゴを、赤ん坊を連れた病気の母親に譲るのですが、
そのカゴに、座頭市が乗っていると思い込んでいる刺客たちに間違えられ、母親は殺されてしまいます。
夫の借金を返すために働きに出ていたこの母親
借金を返し、夫の元への帰り旅だった事を知る座頭市
残された赤ん坊をこの夫の元へ帰すため、赤ん坊を連れての旅を決意します…

映画は「ゴジラ」シリーズで有名な伊福部昭の重厚な音楽で重苦しく始まりますが
座頭市が夜鷹に赤ん坊の世話を頼む場面
ぐずる赤ん坊に困り果て、自分の乳を吸わせる場面
など、意外にコミカルな場面も多く楽しませてくれます。

「仁義なき戦い」山守親分の金子信雄の精悍な男っぷりに驚き
座頭市に子供の将来を言い聞かせる和尚役の加藤嘉に感動し
ラストは座頭市の悲しくも切ない宿命が見事な余韻を残す、シリーズ中でもなかなかの傑作です。
前作二本が借りられていたため、先に本作を鑑賞

今までに無い幸福を味わった分 自身が目くらであることを心の底から後悔しているのがラストで伝わってきた
Catman

Catmanの感想・評価

5.0
シリーズ第8作。最高傑作である1作目を生んだ三隈監督と勝新の強力タッグ。本作も素晴らしい!

以下ネタバレあります。

元はと言えば自分が原因で母を亡くした乳飲み子を、座頭市が抱きかかえ父親の元へ返すために旅するという異色作。ややもすればあざとく感傷的になりがちな設定を、本シリーズならではのバイオレンスとユーモア、ペーソスをバランスよく織り交ぜて情緒豊かにまとめ上げた一本。赤ん坊の可愛らしさを必要以上に印象付けることなく、安っぽいセンチメンタルな物語ににしないところが凄くイイ。(とは言えこの男の子がめちゃめちゃ愛くるしい…)

今回はヒロイン(高千穂ひづる)も異色&出色。普段は堅気の心優しい女性との儚い恋愛模様が描かれることが多いところ、ここで登場するのはスリを生業とするすれっからしの女。最初は市と衝突を繰り返すものの、赤ん坊の世話を通して次第に心を通わせ絆が深まっていくと言う...ベタなんだけど、やっぱりエモくならざるをえない展開。観ているこちらも彼女と市と赤ん坊の疑似家族が決して長く続かないことが分かっているから束の間の幸せが余計に切ない…
ようやく出会った子供の父親(金子信雄が若い!)に裏切られ、自分の一生を懸けて子供を育てようと決意する市に、年老いた和尚(加藤嘉)が言う「めくらでひとり者のヤクザのお前がその子を幸せに出来るわけが無い」と静かに諭すその言葉が胸に刺さります。

市の居合斬りはもちろん絶好調で、宿敵と呼べる強力なライバルは不在ながら、松明に包囲される最後の戦いはスペクタクルで見応えたっぷり。勝新の衣装に火が燃え移りながらも結構な長回しが続くので、撮影事故なんじゃいかと心配になる。おそらく耐火スーツなんか着ていないのでは。役者とスタッフの熱量が半端無い。普段は次々と敵を仕留める無敵の座頭市が、自分に燃え移った炎を消そうと必死で地面を転げ回る取り乱した姿は凄味があってシビれます。

三隈監督らしく目を見張るカットが幾つもありますが、特に緑豊かな日本の山村の風景を映し出す屋外ロケの画がとても美しくて感動的。リマスターされたBlu-rayのクリアな映像はよりいっそうの福眼です。映画はやっぱり画だなぁ( ˘ω˘ )
三隅監督の座頭市はどれも面白いのでお薦め。時代劇=地味なんて思ってる人は是非観てほしい。
勝新太郎 主演の「座頭市シリーズ」26作中、第8作目

まだ勝新も若く角刈りでヒゲも無い頃の市が新鮮

座頭市シリーズは特有のどんよりした世界観があるが、今回は赤子が絡む事でややホッコリさせられる

人間不思議なもので、激しい動きが必要な殺陣は若い頃の方が俊敏に見えるかというと違った…?!

むしろ、勝新座頭市の代名詞とも言える(舞うような殺陣)は後年、太ってヒゲも伸びた頃の方が鮮やかだ…芝居って深いなぁ💦

"仁義なき戦いシリーズ"で憎らしい存在感を示し続けた山守組長役を好演した金子信雄はここでも小憎らしい敵役・・・やっぱりアノ声はイラッとするわ〜😅💦
チェケ

チェケの感想・評価

4.0
赤んぼと座頭市の珍道中はドラマ版でもあった気がする。座頭集団が市と連帯感を感じているのが人情。
かつた

かつたの感想・評価

3.9
育児旅。劇中の子守唄のシーンの空気感じとかが良い。和尚さんが諭すところも。
R

Rの感想・評価

3.7
座頭集団の使い方の巧妙さに感嘆。

奥さんと子供はどうされたのですか
と尋ねられたら答える術のない市が彼らを無視する時の表情に、この物語の非情さが収斂されている。
赤ん坊との旅が、なんとも微笑ましかった。最後の戦いで、火で攻められて、座頭市の着物のも燃え移り、ハラハラさせられた。
街道に転がる牛糞を避ける座頭市の歩みのアップでスタートするが、今回座頭市は人様の子供のおしめを替えなければならなくなる。
自分の身代わりになって殺された女が胸に抱きかかえていた赤ん坊。責任を感じた市は、その子を父親の元へ送り届けることにするというストーリーだ。
シリーズ第8作目にして座頭市があまりにも強いことに困った作り手は、彼に赤ん坊を守りながら戦わなければならないという物語上のハンディを与えることで、アクションの切迫感を維持することにしたようだ。実は『子連れ狼』の原作より5年以上も前の映画である。
道中一緒になる女スリとともに赤ん坊を父親に届けようとするのだが、泣かれるのが嫌だから義務的にあやす男と、面倒をみるうちに母性に目覚めていく女といった具合に、男女で子供への情の持ち方が違うことがよく描けていたと思う。どちらもずっと赤ん坊の面倒をみていて気が寄らないわけはなく、市と女との疑似夫婦的なやり取りがどんどん情緒的になっていくが、勝新の居合いをみせるアクションは一級品。セットをフルに活用したワンカット長回しの殺陣など激しい暴力に満ちた挑戦的な一作となっていた。
ラストでは弱点の松明で追い詰められるが、めくらを補ってあまりあるほどにフィジカルが強いのでなんとかなる。
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